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紅いバラ
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ウェディング・ドレスに紅いバラ
田中芳樹 イラスト/小林立
定価580円(税込)
花嫁は吸血鬼!?
「真紅の薔薇結社」略称はCRS。先天性の吸血鬼が自らの生存権を守るために作られた秘密組織である。その新米結社員・花村雅香とその「コーチ」緑川淳司が、頻発する怪事件の調査に乗り出す! 女子大生連続怪死事件、病院から次々と消える患者、一家殺害事件と殺人ネズミの暴走。事件の影に潜むのは吸血鬼…!? 人類の平和を守って、吸血鬼の平穏を守ります!
パーティー会場は、怒号と悲鳴、右往左往する参列者たちの影であふれかえった。いたるところで食器の割れる音がする。床の上に伊勢エビやワインやサラダが散乱して、飢餓国の難民たちが見たら卒倒しそうな光景を現出させた。
「コーチ、やっぱり患者がいたわ。矢崎は手下でしかなかったみたい」
「わかってる」
短く応じながら、淳司は右と左に、ふたりの参列者をなぐりたおし、ついでに椅子をひとつひっくりかえした。その間に、雅香もひとり平手打ちでのけぞらせたが、ふと思いついた。何でも出てくる魔法のドレスの下から、軽機関銃を引っぱり出し、形だけは一人前にかまえたものである。
純白のウェディング・ドレスと、黒い光沢を放つ軽機関銃の組みあわせは、驚愕のピアノ線となって人々を縛りつけた。
「どきなさい! どかないと容赦なく撃ち殺すわよ!」
夜空の双子座に紅いバラ
田中芳樹原案 岡崎裕信 イラスト/小林立
定価560円(税込)
妹が吸血鬼!?
「真紅の薔薇結社」日本支部に美しい双子の少女が訪ねてきた。活発で凛々しい姉の久我真理と、礼儀正しくおしとやかな妹の久我倫理。先天性吸血鬼として目覚めてしまった倫理だったが、真理は倫理が吸血鬼になったことを認めず、治療方法を求めて雅香の血を奪おうとする。しかし吸血鬼の血を求める者が双子を襲い、更なる陰謀が平穏に生きようとする吸血鬼たちに迫る!!
「だ、大丈夫ですか、お姉様。目を瞑って階段を降りるのは、ちょっと危ないですよ?」
そう言いつつも、少女はまったく雅香を責める様子は見せなかった。動揺する雅香の心を優しい微笑みで落ち着けてくれた。もう雅香は、いっぺんにこの子のことが好きになった。こんな可愛い妹が欲しいなあ、と素直に思えた。
だが、雅香が立ち上がるよりも早く、第三者の腕が割って入った。雅香を乱暴に突き飛ばし、その腕は女の子を抱きかかえた。
またしても、少女だった。漆黒の髪の毛に精気が漲り、力強いラインを描いた細長の眉毛が凛々しい。桜色の唇は一直線に結ばれ、赤味がかった瞳はどこまでも攻撃的だった。先程の少女とまったく同じ顔の持ち主が、不愉快さを隠さずに雅香を睨みつけていた。
「大丈夫かい、倫理。ちょっとおばさん! 危ないじゃないか、どこ見てるんだ!」
「お、おば……!?」
雅香はいっぺんにこの女の子のことが大嫌いになった。
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(C) 小林立/集英社
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