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アキカン!
藍上 陸 イラスト/鈴平ひろ
定価620円(税込)
カン
キス→オンナのコ!?
ファーストキスはメロンソーダの味!? 大地カケルが飲もうとした缶ジュースが、突然女の子に! わがままなメロンソーダの「アキカン」・メロンのオーナーになってしまったカケル。さらに「アキカン」が戦いあう「アキカン・エレクト」がスタート! 戦いたくないカケルを尻目に、メロンは戦闘意欲充填満タン! 前代未飲のすっからかんラブコメ開封!!
「…………大丈夫だ。オレはお前を捨てたりなんかしない」
カケルは少女の肩をそっと抱き寄せた。
「――――」少女が息を飲む。
「お前みたいに可愛いやつを捨てるわけねえだろ? ずっとここにいたらいい」
少女の顎に手を添え、その桜色の唇に顔を寄せていく。
「ずっとずっとオレが可愛がってやるぜ、子猫ちゃん」
「カケル……」少女の目が嬉しそうに細まる。
――どころか、くわっと見開かれ、
「って、なにカンチガイしてんのよ――――――――――――っ!」
シュワシュワシュワッ、どーん!
「な―――んでやね―――――ん!」
アキカン! 2缶めっ
藍上 陸 イラスト/鈴平ひろ
定価580円(税込)
でーとしたい!
カケルのキスで少女化したメロンソーダの「アキカン」メロンと一緒に暮らしはじめた大地カケル。ある日、カケルは幼なじみの天空寺なじみとデートすることに! それを知ったメロンはふたりを尾行開始! メロンはいてもたってもいられず、同じように尾行するなじみの「アキカン」エールと手を結ぶ!? 缶全無欠のすっからかんラブコメ2缶目、開封!!
カケルは格子窓のついたアンティークなドアを押して中に入った。括り付けられたベルが高く澄んだ音を鳴らし、そして、その音色を真似るかのように朗らかな声で、
「お帰りなさいませ、ご主人さま」
と、やってきたメロンがお辞儀した。――メイド服で。
「おう、ただいま」
「? ……――っ!?」
顔を上げたメロンの顔がみるみる赤くなる。
「――な」
「んちゃって?」
「な、な、なんで来るのよーーーーーーーーーーーーーっ!!」
アキカン! 3缶めっ
藍上 陸 イラスト/鈴平ひろ
定価600円(税込)
……カケルの、ばか。
前代未飲のすっからかんラブコメ3缶!
キスで少女化するメロンソーダの「アキカン」メロンとの生活もすっかり慣れたこの頃。体育祭に向けて野球の練習にはげむメロンもクラスに溶け込みつつある。しかし、そんな平和な日常を壊す新たな「アキカン」が弓月学園を襲う。人を傷つけることを躊躇しない拳介とその「アキカン」舞はカケルとメロンに「アキカン・エレクト」を挑む! 飲果応報のすっからかんラブコメ3缶目、開封!!
「ッたく、ダリィな」
人波に、逆らって進む男女が一組。
肩で風を切り、下校する生徒たちの群れに遠慮なく突っ込んでいく。ある者は慌てて道を譲り、ある者は二人に訝しげな視線を送り、またある者は肩をぶつけられてよろめく。
「チッ、どこ見て歩いてンだよッ! ブン殴ッぞ!」
緩くウェーブのかかった茶髪を振って、少女が激高する。それを見た生徒たちが恐れをなしたように二人から距離を置き、まるでモーゼの伝説のように人海に割れ目が出来る。
「ハンッ、どいつもこいつも。くっだらねェ」
いかにも行儀が悪そうな、一言一言を相手に叩きつけるような口調だ。その左手には紙コップが握られ、中にはニンジンやセロリや大根などの野菜スティックがポテトのように突き出していた。少女は苛立ったようにそれをつまむと、がりがりと噛みながら歩いていく。
男はそんな連れには目もくれず、黙々と人波に逆らって進む。
見た目、どちらもまだ高校生である。
アキカン! 4缶めっ
藍上 陸 イラスト/鈴平ひろ
定価650円(税込)
一緒にいてくれて、ありがとう。
カケル&メロン、パートナー解消!?
キスで少女化する「アキカン」メロンは、カケルに一人の女の子として見てもらえていないことを感じ、カケルの下から去ってしまう。男屋からオーナーとの契約解除の方法を聞いたメロンは…? 一方、カケルは拳介との勝負に向け、トレーニングに打ちこむ。まるで失ってしまったものを取り戻すかのように。カケルとメロンの仲は!? 戦いの最後にカケルが見つけ出した答えとは!?
缶慨無量のすっからかんラブコメ4缶目、開封!!
横目でちらりと揺花を見ると、彼女はスカートの中に手を突っ込み、そこからメガネケースを取り出していた。中から黒縁メガネを取りだし、かける。以前、なじみと話しているのを聞いたが、深く考えるときはメガネをかけるのが癖らしい。
答えを期待していたわけじゃなかった。
しかし彼女は言った。
「お前の気持ちはどうなんだ、大地」
カケルは揺花の目を見た。揺花もカケルの目を見た。
「お、オレの……気持ち?」
「そうだ。メロンちゃんの気持ちじゃない。お前のメロンちゃんに対する気持ちだ」
「オレ、は……」
メロンのことを、どう思っているのだろう?
アキカン! 5缶めっ
藍上 陸 イラスト/鈴平ひろ
定価600円(税込)
今度のアキカンはあったか〜いおしるこ!?
「アキカン・エレクトをぶっ壊す!」と宣言したカケル。でも、そもそもアキカンの情報が少なすぎて、何をすればよいものやら。さらにメロンを妙に意識するようになったカケルはギクシャクしっぱなし。そんな中、カケルが偶然口にした缶ジュースが、またも少女化!! 今度のアキカンはあったか〜いおしるこ。そのかわいらしさにカケルはメロメロ、メロンやなじみは嫉妬の炎を燃やすけれど…? すっからかんラブコメ5缶目開封!!
「きゃうんっ!?」
お尻を隠そうとすると今度は前が露わになり、後ろと前を隠すと胸が出る。メロンはあわあわしながらさかんに手を入れ替え、手が二本ではどうにもならないことをようやく悟ると、ぺたんと床に女の子座りした。
シャツの袖がだぼついた腕で体を抱きしめ、ぎゅっと目をつむっている。
「お、おいお前…」
「見るなっ。見るな見るな見るなっ」
太ももをすり合わせながら、ぶんぶんと必死に頭を振る。純白のYシャツによく映えたブロンドの髪がふりふりと揺れる。あまりの恥ずかしさ故にか、閉じた目尻から涙が溢れている。ボンボンの中は、まるで焼け石を投げ込まれたかのように急速に沸騰している。
アキカン! 6缶めっ
藍上 陸 イラスト/鈴平ひろ
定価560円(税込)
今度は短編集を開封!
もりだくさんのフレーバー!!
エールの今一番の悩み事とは?「エールとカメと商店街。」
謎のカバディスト、ミスター・カバディアン苦悩の一日「BLOWIN'」
揺花の自主制作ビデオ「マジカル☆ゆりりんっ! 大・作・戦!!」
なじみとカケルの出会いは最悪だった?「夏の帰り道。そして一万円スルメ。」
メロンのある日の様子を描いた「メロンの、とくにメロメロでもないだらだらした一日。」
いろんな味が一度に楽しめる、すっからかんラブコメ絶好調です!!
「うぉっ!? やべえ! まだ溢れてくるぞ!」
ジュースがまだ噴き出していた。よく見ると、わたしだけではなく彼もジュースの噴出をくらってかなりの被害を被っていた。
「きったねえ! めちゃべたべたするじゃねえか! あーもう、ひっでえな。ジュースもこぼれちまったし、髪まで濡れちまったし」
「…………」
「おいアリどもよってくんじゃねえよ! オレはお菓子じゃねえぞコラ!」
「……ぷっ」
その瞬間、信じられないことが起きた。
思わずわたしは噴き出していたのだ。
さっきまであんなに怒っていたのに。なのに、いまはなぜだかお腹の底からくすぐったいものが込み上げてきて、どうしても笑わずにはいられない。
「あはっ、あははははっ! へけっ!」
「笑うなよおい。なんかむかつくな畜生」
アキカン! 7缶めっ
藍上 陸 イラスト/鈴平ひろ
定価630円(税込)
TVアニメ放送直前!
アキカン!史上最高の感動作!!
命を落としてしまったはずのぶど子が生きていた!? アルバイトの買い出しの途中、メロンは黒服の男たちに追われているぶど子らしき少女を目撃する。慌ててその少女を追いかけるメロン。一方、家でお留守番中のカケルとしるこの元に、ぶど子のオーナーであるミサキがやってきて…。記憶喪失の少女の正体は? ミサキの目的は? さらには男屋の姿も見え隠れして…!? 追いつ追われつ、缶天喜地のすっからかんラブコメ7缶目、開封!!
しるこがのそのそとコタツから足を引き抜いて立ち上がり、襖を開けてぱたぱたと部屋を出て行く。エアコンで暖められていた部屋に、一瞬ダイニングからの冷気が忍び込んでくる。
カケルはじっと蜜柑に視線を落としていた。
「カケルさん」
襖が開いて、しるこがもどってきた。
戸惑ったように、おずおずと和服の袖を握りしめながら。
「あの、お客様がお見えに……」
「……?」
カケルはしるこの後ろへ視線を送った。
一人の女の子がそこに立っていた。
「……こんにちは。……大地さん」
「…………」
カケルの手からころりと蜜柑が転げ落ちた。
アキカン! 8缶めっ
藍上 陸 イラスト/鈴平ひろ
定価580円(税込)
カケルの妹が登場! メロンがアイドルに!?
深夜の神社に全裸でたたずむカケルが出会った美少女。彼女が落としたカードが、芸能事務所の通行証だと知ったカケルは、これをきっかけにアイドルとお近づきになれると大喜び! 当然メロンやなじみは面白くないが、再会した少女の正体は…カケルの妹!? アイドルを目指す妹・アユムのオーディション出場に対しカケルは、メロンたちも参加させることを決める。今、カケルのアイドル・プロジェクトがスタートする!! 8缶目、開封!!
――美しい。
いの一番にそう思った。それは下心のある思惟ではなく、むしろ純粋な感情に近かった。喜怒哀楽と同じ、「美」という原始感情。
メロンやなじみやエールといつも一緒にいるため、いつの間にか慣れて麻痺していた。しかし彼女を見た瞬間、それが再び沸き起こったのだ。
凜とした細面。直毛で長い前髪が、ぱっちりとした瞳を半ば覆い隠している。鼻筋は綺麗に通り、そのシンメトリーな顔を引き立たせている。
髪は濡れたように艶やかで、長い。それを可憐に二つ結びしている。百合のような細い首には、グレンチェックの長いマフラーがタイトめに巻かれていて、どこか色っぽい。
セーラー服の上から、やや厚ぼったい紺色のPコートを着ているが、その抜群のスタイルは充分に見て取れた。
二の腕や腰は細そうなのに、胸はとても女性的で、豊満だった。
短めのプリーツスカートから伸びている太ももは、細くもなく決して太くもなく、ほどよい肉付きと弾力を備え、滑らかな曲線を描きながら足首に行くにつれてすぼまっている。黒のニーソックスで見えないが、きっとくるぶしまでもが官能的だろう。
月を感じさせるような美しさを秘めているが、その上さらに、頬に受けたほのかな暖色の灯りのおかげで、冷たさと暖かさが折衷した、男を夢中にさせるような蠱惑さがあった。
まだ成長しきる前の小悪魔――そんな感じ。
「あっ……」
こちらの顔を見た彼女が、意外げに目を見開く。
アキカン! 9缶めっ
藍上 陸 イラスト/鈴平ひろ
定価600円(税込)
最強のアキカン登場!!
ついに男屋の目的が明かされる!?
高校2年生に進級した春。クラス替えでなじみや揺花と違うクラスになったカケルは、ツッコミ役不在のまま下ネタをすべらせていた。メロンたちはこのお寒い現状を改善すべく、下ネタ禁止委員会を設立する。一方、男屋は遅々として進まないアキカン・エレクトに新たなルールを設定し、戦いの促進を謀る。エレクトに秘められた男屋の真の目的とは!? そして今、最強のアキカンが驚愕の事実とともに、その姿を現す!! 9缶目、開封!!
男屋は鉄板に薄く油を引くと、もんじゃ種の入った容器をとって、流し始めた。
「君はもんじゃを知らないでその歳まで生きてきた可哀相な人なのだろう。その様子だと青森に引きこもっていたせいで、たこ焼きやお好み焼きや串焼きなどの炭水化物や油たっぷりの食べ物も知らないのだろう。私の秘書になれば好きなだけ食えるようになるぞ。まずはこの東京一美味いもんじゃをたっぷりとご覧じろ」
この道十五年の私が見事なもんじゃを焼いてやろう、とか男屋は得意げに言いながら、鍋奉行ならぬもんじゃ奉行と化してあれやこれやと指示を出し始めた。もんじゃはおろか、たこ焼きもお好み焼きも普通に食べたことのある木崎であったが、いまさらそれを言うわけにもいかず男屋の好きにさせておいた。
人の顔色も気にしないで、湯気の立つ鉄板を前に嬉々として食べ物をいじる彼は、少しだけ年相応に親父くさく、そして少しだけ子供っぽかった。
出来たぞ、焦げないうちに早く食べたまえ、と男屋が小さいヘラを寄越しながら急かしてくるので、木崎はヘラでもんじゃを切ってそのまま口に入れた。
一口飲み込んだところで、不意に涙が浮かびそうになった。
「美味しいかね?」
こちらの表情をどう受け取ったのか、男屋がにこやかに聞いてきた。
「えぇ、とても」
木崎は赤面をしながら、口を押さえてこくんとうなずいた。
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(C)鈴平ひろ/集英社
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