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シアンとマゼンタ
砂浦俊一 イラスト/AKIRA
定価620円(税込)

対なる二人の少女、見参!
秋泉真朱(あきいずみ まそほ)は「妖視(あやかし)」という目には見えない思念や電波を見ることができる、好奇心旺盛な少女。爽条藍姫(そうじょう あいひめ)は「つきはらい」と呼ばれる目には見えない「陰神(いんがみ)」を祓う能力を持つ、素直な剣道少女。二人がある日、ファーストフード店で猟銃を持った男に人質にとられたことから、奇怪な事件に巻き込まれる! 退魔ファンタジー、開幕。
モノクロ  ゴールデンウィークの初日、外は初夏の陽気だが駅前の一等地に面したファーストフード店・トリアットでは緊迫した空気と場違いな中年男性の熱弁が渦を巻いていた。
 中年男性が熱弁をふるう相手は手足を縛られた二人の少女。岩富士中学一年生・爽条藍姫及び秋泉真朱。藍姫は黒髪をポニーテールにし、肌は健康的に陽に焼けている。真朱は色白でソバージュ、その右眼は何故か赤い。
「暑そうだよね、藍姫」
 真朱の言葉に藍姫は彼女の顔を見返す。何をのんきなこと言っているの、そう言いたげだ。だが確かに猟銃を持った中年男は薄汚れたハンカチで汗を拭っている。
「うん、暑そうだ。でもこれ以上クーラー効かせるのは困るな。体が冷えちゃうよ」
 真朱の声には緊張感が欠片も無い。
「ボクは心臓まで凍えそうなんだけどな」
 藍姫は口を尖らせた。さっきから彼女は何度も縛られた両手を動かしているが、縄はゆるみそうになかった。狭い店内にいるのは彼女ら三人。店の出入り口は椅子とテーブルのバリケードで塞がれ、窓ガラスは全てカーテンかブラインドが下ろされているため外の様子は窺い知れない。
 男が藍姫と真朱を人質に立て篭もって、およそ三十分が過ぎていた。

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シアンとマゼンタ 13階段
砂浦俊一 イラスト/AKIRA
定価600円(税込)

今藍姫が刀なら、私は鞘だよ。
陰神(いんがみ)を払い、平和を取り戻した秋泉真朱(あきいずみ まほそ)と爽条藍姫(そうじょう あいひめ)。真朱はこれを機に積極的に陰神を祓っていこうと藍姫を誘うが、藍姫はこれを頑なに拒否する。しかし、藍姫の後輩の少女・雪加(せっか)が陰神に取り憑かれてしまう。この一件もまた、後に巻き起こる壮大な事件の序章に過ぎなかった……。電波系サバイバルアクション、衝撃の第2弾。
モノクロ 「それじゃあボクがこっち側を持ちますから――」
 そう言って藍姫は雪加が床で頭を打たないように、注意して立ち上がろうとしたが。
 ぱさり、と音がして藍姫はやけに下半身が涼しくなるのを感じた。
 真朱は小さく「あ」と声を出し、青年の顔が赤くなった。
「藍姫っ、スカートスカート!」
 慌てる真朱の叫びで、初めて藍姫は自分の下半身がどうなっているのか気づいた。
 何故か制服のスカートが足元まで落ち、藍姫はストライプのぱんつ丸出しで立っていた。
 先ほど雪加が逆手に持った包丁を振った時だった。藍姫は避けたつもりだったが刃は彼女のスカートのホックを裂いていた。その後は倒れた雪加を抱きとめ、ずっと膝枕をしていたためだろう。藍姫は立ち上がるまでスカートが脱げかけていたことに、気づかなかった。
「あ、あああああああ」
 顔を真っ赤にした藍姫はその場に座りこむと落ちたスカートを引き上げた。真朱は藍姫の前に立って覆い隠し、青年は明後日の方角へ顔を向けていた。
 後輩の雪加を助けに来たはずなのに、まさか見知らぬ男性の前で自分の下着姿を晒すハメになった。脳髄が沸騰しそうなほどの羞恥心が、ついに限界を超え――
 藍姫の悲鳴が市営団地にこだました。
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(C)AKIRA/集英社

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