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ダーク・グリモワール
丘野ゆうじ イラスト/むらたたいち
定価560円(税込)
この本を開く時、運命は変わる
街に不可解な連続殺人が起こるのと同じ頃、若者の間でひとつの噂が広がりはじめた。いわく、ある時突然『本』が手元に現れ、それを読んだ者は必ず不幸に見舞われる…。高校生・三咲杏平は憧れの少女・羽唯文音が襲われる現場に遭遇する。文音を逃がすことになんとか成功した杏平だが、重傷を負ってしまう。意識が薄れゆく中で杏平は謎の『声』に呼びかけられる…。戦慄のダークファンタジー開幕!
「そう、我が言うのはその『本』だ。ただし不幸を呼ぶというのは正しくない。ひとはただおのれの物語、その具現たる『本』にしたがい、ほんとうに為したいことを為すだけのこと。その結果を他者の視点から一概に不幸と定めるのはまちがっていよう」
「ほんとうに、為したいこと……?」
「そしてこの娘もまた同じ。なればこそ、こうして我の……おっと。こんな話はいささか無駄にすぎるな」
だが影男はそこで何か思い出したように言葉を止めた。
節くれだった細い指、その先端を文音の肩にめり込ませ――もう一方の手を掲げる。
「!」
その手の中に、突如黒い短剣が出現した。
いや。黒衣の袖から出た腕、その手首から先が鋭い刃物のかたちに変化したのだ。
――マジ!?
杏平は目をまたたかせた。まるでアニメか、映画のSFXだ。
だが黒の刃は本物だった。影男が文音の胸に刃の先端をあてて軽く引くと、ワンピースの布地がすっぱりと切断され、白い肌と下着が露出する。
「や、やめ……!」蒼白になった文音がうめく。
(c) SHUEISHA Inc. All rights reserved. 無断転載禁止
(C) むらたたいち/集英社
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