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Kishin―姫神―
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Kishin―姫神― 1
邪馬台王朝秘史
定金伸治 イラスト/伊藤真美
定価520円(税込)
伝説の巫女王が今、新たに甦る!
三世紀中葉、神話の時代。大倭(邪馬台)の国で一人の偉大な巫女王が死んだ。それから一年。一人の少女がかつての巫女王の血を受け継ぐ皇子の助力を得て、みずから新たな巫女王として起った。しかし少女の中には、死んだはずの『彼女』が宿っていた…!!
「愚か者どもが」
猛り荒んだ素戔鳴のはげしい声が、再び館の柱という柱のことごとくを震わせ尽くした。
「自らあえて滅びようとするか」
しかし己貴は動じなかった。耳にも入っていないかのように平然と素戔鳴の怒りを受け流し、そして乾ききった声で答えた。
「……神去る前に遺す言葉は、その程度のものでよいのか」
Kishin―姫神―
2
邪馬台王朝秘史
定金伸治 イラスト/伊藤真美
定価500円(税込)
出雲の王・己貴の大倭侵攻が始まった!
素戔鳴を屠り、出雲の大王となり大倭侵攻を虎視眈々とうかがっていた己貴は、そしてある行動にでる。今や大倭の王となった忍穂、その弟・穂日を惑わせ忍穂を襲わせた。穂日の刃で、全身を血で朱に染めた忍穂…。同じ頃、出雲の大軍が関門海峡をわたり攻め込んできた!
遠く、護衛の若者をしたがえて舟に立つ巫女王の姿が見えた。号令を発することもなく、ただ静かに戦況を見つめている。
火明は弓を手に取った。文字通り一矢を報いる機会だと思った。出雲の者や将兵の宿命を自分は背負っている。射ねばならない。
矢を番え、そして放った。
水しぶきを切り裂いて矢は巫女王の喉に正確に迫り……そしてそこで砕けた。
Kishin―姫神―
3
邪馬台王朝秘史
定金伸治 イラスト/伊藤真美
定価540円(税込)
呉帝孫権の万余の軍勢が、大倭に襲来!
大倭の沖に呉国の大軍勢がおしかけた。忍穂は背後の脅威となる出雲を牽制するために、吉備と同盟を結ぼうと台与を使者にたてる。が、途中に海賊に襲われ大倭軍は壊滅。どうにか助かった台与の前に現れたのは巨大な鬼!
ここまで来れば、と警戒を解く。
用心もせず、木々のあいだから月光の下に出た。それがいけなかった。どれほど自分はおろかなのか、それをなじりたくなった。身を守らなければならないのに……。
そこにいたのは、鬼──
赤銅色の肌をもった、雲をつく巨漢。
温羅。
大倭の船を襲った海賊をしたがえる、異形の者。
それが目の前に、いる。
足がふるえ、高熱に浮かされた目が霞んだ。
Kishin―姫神―
4
邪馬台王朝秘史
定金伸治 イラスト/伊藤真美
定価540円(税込)
呪を操り忍穂にうりふたつの女王が…!!
信頼する部下の若日子らに拉致され、出雲に連れ去られた台与。彼女を奪い返すべく忍穂達は海路出雲に向かうが、途中不思議な風によって遠く丹波の地に流される。その地を支配するのは、忍穂とそっくりで呪を操る女王豊由宇気。女王は「この地を去ってはならぬ」という…。
「そなたは、みずからの意志で去らぬのじゃ」
そばの木箱を由宇は手もとに寄せた。そして中から木の葉らしきものを取り出す。
同時に、筆を手にとった。瞬時のうちに文字を葉にえがく。
その葉を指にはさみ、由宇は空を斬った。
二枚の葉が一直線に飛ぶ。薄刃のように、葉は宙を走った。
行く先は、うしろに控えていた呉の思遠と衛請だった。葉はかれらの腕に刃のごとくつき立った。ふたりは低いうめきを同時にもらした。
葉には、「寒」の一字がえがかれていた。
「そなたらは寒い」
つらぬくように言った。呪いのことばだ。そして、まぼろしのことばでもある。
Kishin―姫神―
5
邪馬台国王朝秘史
定金伸治 イラスト/伊藤真美
定価560円(税込)
倭国統一、それぞれの運命が待ち受ける……。
最後の戦いを前に、台与は不安を消せずにいた。神代の終わりは忍穂が神去ることを意味しているのだろうか。そしてついに纏向が動き出した! 国産みをなすのは、忍穂と己貴の対決は――!? 日巫女が操る運命に、台与はどう立ち向かう!? 感動のシリーズここに完結する!!
感情と衝動につきうごかされて、身を伸ばした。目の前に忍穂の顔があった。そのまま台与は、かれとくちびるを合わせた。
やがて息がくるしくなってようやくくちびるを離し、そしてかれの顔を目前に見ると、かれは狼狽して真っ赤になっていた。
それを見て台与も感情を普段にもどした。
何も言えぬまま、かれの前でうつむく。
沈黙がながれた。
「でも、巫女王になどなりたくないというのは、本心……」
忍穂の手が、口をふさいだ。
わかっている。ひとびとは私を巫女王として慕い、象徴としてこころに抱いている。
「そうだな、戦いが終わったら、おれはあの三輪山のあたりにでも去ってのんびりする。お前は巫女王としてしっかり働け。その合間に、お前が山に来て会う。そんな生活はどうだ。おれにとっては理想的だな」
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(C) 伊藤真美/集英社
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