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I
KLAN 1
田中芳樹 イラスト/いのまたむつみ
定価500円(税込)
壮大な物語がここから始まる! アニメ化も近い?
古からの血をつぐもの『ハムランムル』とは、何か? 謎の自殺を遂げた父の名誉を守り、行方不明になった妹・風子を救えるのか?
謎の美少女・ルネと出会った虎之介の冒険は今、始まったばかりなのだ…。続編も秋から登場予定!
「わかった。逃げない」
「そうか。逃げんといてくれるか、お嬢ちゃんはええ子やな」
「風子だよ。そう呼んで」
「フウコちゃんか。おれはアレクセイ・ニコライヴィッチ・カザノフ。
長いやろ。アリョーシャと呼んでくれたらええで」
KLAN 2 逃亡編
原案/田中芳樹 文/霜越かほる
イラスト/いのまたむつみ
定価500円(税込)
伯爵の魔手から、トラたちよ、逃げろ!
ますます冴える、いのまたイラストに加え、今回からは田中芳樹先生の監修のもと、鬼才・霜越かほるがストーリーを担当します。鮮やかなトリックと描写、新キャラも次々に登場して、新感覚のKLANに仕上がっています。手に汗握るアクションをお楽しみ下さい。アリョーシャも素敵と大評判です。
数分をかけて、全身が人の姿を回復すると“銀狼だったもの”はふーーーっと、大きなため息をひとつ、ついた。
すると、全身を覆っていた銀毛が、ぱらぱらと一度に抜け落ちて、その下からミルク色の素肌があらわれた。
「はじめ、まして、わたしは、ルネ・ド・マリヴェール、です」
一糸まとわぬ美少女は、ふくよかな胸を両手で隠して、フランス語なまりの日本語で言ったあと、気恥ずかしそうに美笛に笑いかけた。
KLAN 3 迷走編
原案/田中芳樹 文/霜越かほる
イラスト/いのまたむつみ
定価500円(税込)
ついに伯爵が攻めてきた。危うし!!
北に逃げた4人のハムランムルに伯爵の魔の手が襲いかかる。札幌に身を隠した4人はひっそりと反撃の機会を窺っていた。二手に分かれ、美笛と風子は伯爵に一泡吹かせようと大きな賭にでるが……。北の大地に、悲しい獣たちの、血の雨が降るのか?
伯爵の命にも、ジョアンナの変じた若い雌ライオンは微動だにしなかった。リンフォード家の血を引く者にふさわしい豪然たる態度を崩さず、殺意に満ちた視線で、美笛を睨みすえていた。
伯爵は雌ライオンとハムルを交わしたのち、残酷な笑みをたたえながら美笛に告げた。
「五分の猶予を与えるそうだ。その間に、この広いフィールドを自由に移動して、生きながらえる方法を探るがよい」
「最初からそのつもりで、着替えさせたんでしょ。どうせならひと思いにやりなさいよ」
美笛は大げさな素振りで、首を雌ライオンの前に差し出した。
KLAN 4 野望編
原案/田中芳樹 文/霜越かほる
イラスト/いのまたむつみ
定価480円(税込)
伯爵の世界征服の謎が明らかに!!
話題騒然! 田中芳樹原案のこの作品、ファン待望の最新刊がついにでました! お待たせっ! 風子を伯爵に奪われた虎之介たちは奪還に北海道から、サハリン、インドへと向かう急展開!! 風子は奪い返せるのか?伯爵が虎之介を狙う真の理由は何だったのか……?
ミス・モルレーが目配せすると、スタンレー大佐が懐から大型の麻酔銃を取り出し、薬液の詰められた金属製の小筒を銃に装填した。
「ゆっくりお眠りなさい。その間にすべて片づいているわ」
大佐が麻酔銃をかまえて銀狼の臀部に狙いをつけた。
それを見た虎ノ介が吠えた。
ハムランムルとしてではなく、一匹の獣として、力いっぱい吠えたのだ。
ミス・モルレーやスタンレー大佐にではなく、人間に飼い慣らされた獣たちに向かって、彼らの眠っている獣性を目覚めさせるべくとどろく雷鳴さながらに咆哮した。
KLAN 5 苦闘編
原案/田中芳樹 文/浅野智哉
イラスト/いのまたむつみ
定価500円(税込)
新作家で待望の2ndシーズン開始!
2〜4巻の第1シーズンを書いてくれた霜越かほる氏から第2シーズンは浅野智哉氏にバトンタッチ。あっと驚く新キャラ登場&新展開で初めて読む読者にも楽しめる展開になってます。いのまた画伯のイラストも絶好調!!
「名前はルシアーナ・ルシャイロワ。通称はルシア、歳はおれよりいっこ上で、同じ熊の血族なんや」
「へぇ〜〜。ねね、どんな人だったの」
ルネは身を乗り出して訊いた。いつもは貴族の誇りを失わない凜とした態度だが、恋がらみのトークになるととたんに普通の十七歳の女の子になる。アリョーシャはとぼけるように笑った。
「可愛いっちゅうより、べっぴんさんやったかなあ。赤毛がサラサラでスタイルも良くて、上官にも狙うてる奴はいっぱいおったで」
「性格は? 優しい人?」
「うーん…ていうより思ったことはっきりビシバシ言うタイプやった。頭は少し固いトコがあったかもしれんな」
別れた元彼女の話をするアリョーシャの口調は嫌そうではなかったが、特に面白そうでもない。それでもルネはつっこんだ。
「そうなんだー、何で別れたの?」
「そりゃ…まあいろいろあってやな。ちゃんと話したら長うなるで」
KLAN 6 策謀編
原案/田中芳樹 文/浅野智哉
イラスト/いのまたむつみ
定価540円(税込)
香港に天才虎現る。 物語はいよいよ佳境へ!
傷を負った虎ノ介たちに新たな危機が! 生活資金が底をついてきたのだ。香港に虎のクランの仲間がいることを知って、虎ノ介たちは旅立つ! そこにはネットカジノを牛耳る、天才少女・李麗汎がいて……。緊迫の心理戦。手に汗握るバトルが展開される大傑作!
「初めてお目にかかります李麗汎。私のことはご存じですね?」
テレビ電話の相手はゴッドホープ・グレーブスーーリンフォード伯爵だった。
「獅子の血族として貴女にお話があります」
レイファンは留守モードのまま伯爵の顔を興味深そうに見つめていた。
どうやってこの番号を知ったのかは知らないが、どうやら、なかなかしっかりとした情報網を持っているらしい。
レイファンは悪戯を思いついた子どものような笑みを浮かべて、小さく舌なめずりした。
「なんか……とっても面白くなりそう」
KLAN 7
暗闘編
原案/田中芳樹 著/白川 晶
イラスト/いのまたむつみ
定価500円(税込)
麗汎が、日本政界を舞台に華麗に舞う!!
お台場にカジノ建設を目指す超ワンマンの東京都知事と、リンフォード伯爵、そして麗汎が、三つ巴の大激突。三者の駆け引きの中で、虎ノ介は命の恩人を殺された。怒りに燃えるハムランムルたちは、涙の山ごもりで急成長を遂げる。もう負けられない! 緊迫の全面戦争!!!
麗汎は、ウォンに向かっていたずらっぽい笑顔を見せた。
「日本に対して、一番いい手はなにかしら? 誰に働きかけて、どういうルートでアクセスするのがいいと思う?」
ウォンが、かしこまって答える。
「正攻法ですか? それとも少しひねりますか?」
「そうね……面白い方がいいわ」
「面白い、ですか?」
「そう。面白い、よ」
ウォンは、この女主人の心情をはかろうとした。つまり、真っ直ぐにアクセスするのではなく、多少裏の事情に通じた人物、表舞台にいるわけではないが、実質、表舞台にいる人間以上の力を発揮できる人物にアクセスしろ、ということであろう。
KLAN アリョーシャ特別編
原案/田中芳樹 著/白川 晶
イラスト/いのまたむつみ
定価500円(税込)
美しき殺人者、アリョーシャの恋!
吸い込まれそうな青い瞳で、人懐っこい関西弁を操る美少年。その実体は冷酷な暗殺者……。スパイ訓練所で愛を知らずに育った少年は、罪の意識なく殺人をくり返す。そんなある日出会った謎の美少女ヴェスナとの交流で心に芽生えたほのかな愛情。大ヒット作、待望の特別編!!
人を殺した晩は、かならず伯爵と同じベッドで眠るのが習慣だった。
別に伯爵を愛しいと思っているわけでもないが、アリョーシャにとって、帰る場所は伯爵のベッドの中しかなかった。
なにをするわけでもなく、単に同じベッドの中で眠るだけである。伯爵のベッドは、ふたりで眠ってもまだ十分に余裕があるほど広かったし、アリョーシャが普段使っているベッドよりも格段に寝ごこちのいいものであった。
その晩も。
アリョーシャは伯爵のベッドで眠っていた。
つまり、今夜も人を殺したということだ。
人間には感じられないほどのかすかな血の匂いが、煙るように体を包んでいた。
KLAN VIII 覚醒編
原案/田中芳樹 文/白川 晶
イラスト/いのまたむつみ
定価520円(税込)
香港に逃れた虎ノ介一行の、つかの間の休息。
リンフォード伯爵から少しでも離れるため、麗汎の住む香港に逃れた虎ノ介一行。日に日に悪化する心臓の痛みを抱える虎ノ介は東洋医学の病院に入院し、風子のためにクリスマスパーティーを計画する。しかし伯爵はすでに、香港へ強力な暗殺者を送り込んでいたのだった!!
ルネが、かすかに眉をひそめてアリョーシャを睨む。顔に不満がありありと出ていた。
「伯爵もこういう街は嫌いやったからな。貴族はみんな嫌いなのかと思ってな」
「やめてよ。貴族だからなんだっていうの。私は貴族だから、という考えは嫌い。それに、うちは代々庶民派として名を売ってきたマリヴェール家なのよ。新聞社として庶民とともに戦ってきたわ。伯爵と一緒にしないでちょうだい!」
怒りに頬を紅潮させてぴしゃりと言った顔はいつものルネであった。
アリョーシャは、にやりと笑うとルネの肩を叩いた。
「そうそう。そうやってるほうがルネらしいで」
「え……」
ルネは、アリョーシャの言葉の真意に気がついてはっとした。それから、上目づかいにアリョーシャを見る。
「わたし、そんなに沈んでた?」
「ああ、重傷や」
「そう……」
ルネが思わず下を向く。
「まあ、とにかく、ルネがそんなだと虎ノ介の病気にもようないで。トラかて、すぐにどうこういうもんやない。こういうときはしっかり楽しみや」
「わかってるんだけど……」
「そうやな……わかってへんわけはないけどな……」
アリョーシャは、大きくため息をつくと、空を仰いだ。
KLAN IX 反撃編
原案/田中芳樹 文/白川 晶
イラスト/いのまたむつみ
定価540円(税込)
血族の物語、いよいよクライマックス!
香港で最愛の友人、麗汎を失った虎ノ介たちは失意から立ち直り、リンフォード伯爵を倒す計画を練っていた。そんな折、東京でサミットが開かれる。伯爵は世界の要人を操り、世界征服をしようとしている、という情報が。帰国した虎ノ介たちを待っていたのは? そしてあの風子がついに…。
いつもの柔らかな笑顔は崩さないものの、ミシェルの声には不安が見え隠れしてる。
二人が腰を落ち着けたのを見て、ミシェルは半ば虎ノ介に説くように言葉を続けた。
「昨日、日本にいる古田さんから入った情報によると、リンフォード伯爵は政界のほぼすべてを掌中におさめたそうだ」
「政界? というと、間接的に日本の実権を握ったということですか」
虎ノ介の問いに、ミシェルは大きくうなずいた。
「そう考えて、ほぼ間違いないと思う。 ここ数カ月、伯爵が香港へ何の行動も起こしてこなかったのも、これで納得できる。彼は、虎覇電征に対する経済的な攻撃で我々の足どめをして、その間、日本のほうに全力を注いでいたというわけさ。見事にしてやられた」
「それで、どうするんですか?」
「このまま座して死を待つわけにもいかない。伯爵が日本から動かないのならば、こちらからしかけるしかないだろう。虎覇電征もどうにか立ち直りつつある。それに伯爵の、風子さんへの執着は尋常なものじゃない。日本を制圧したあとは、間違いなくこの香港に攻め込んでくる。むこうがその準備を整える前に、こちらから叩かねばなるまい」
「わかりました。で、いつ攻め込むんですか?」
「君はしばらく待っていて欲しい」
血気にはやる若虎を、狼の血族は静かに押しとどめた。
「待つ? なぜです」
虎ノ介は承伏できない。自分が足手まといになるとでもいうのだろうか。
KLAN X 宿敵編
原案/田中芳樹 文/岡崎裕信 イラスト/いのまたむつみ
定価540円(税込)
衝撃の再開! 3ヶ月連続刊行で完結!
霧のロンドンでリンフォード伯爵に闘いを挑んだ虎ノ介。両者とも本気の激闘が続いていたが、ふたりの心臓に突如謎の激痛がはしり、またしても決着は持ち越された。重傷を負った虎ノ介だが、ルネに介抱される中で想いを伝えついに結ばれる。決戦を前に日本に戻り一時の休息を過ごしていたが、「白き狩人」によりレジスタンスが壊滅させられ、風子がさらわれてしまい…? 誇り高き血族の激闘、待望の再開!!
月が出ていた。
古くからの地球の友が、真円にほど近い形で、グリニッジ子午線の直上にさしかかろうとしていた。
経度0度を定めるその子午線は、世界の標準時刻を決定づける時の番人である。月の満ち欠けもまた、人々が暦を計るのに古来より利用されてきたものである。
彼らは時を刻み続ける。その時がくるのを待っている。
生存競争の果てに必ず生まれ出ずるであろう、獣たちの王の誕生を待ち望んでいる。気の遠くなるほどの時間と時代を積み重ね、彼らは待ちこがれてきた。
そして、どうやら、ほどなくして決着はつきそうだ。もはやそれほど、時の番人たちを待たせる必要はなさそうだ。
ヒトラーやナポレオンですら途中で落伍した、王の座に至る旅路。21世紀の現代で、その道を疑うことなく邁進している人間は、もはや一人しか残されていないのだから。獅子の野心を胸に秘めた、とあるイギリス人貴族だけなのだから。
そして、獅子を止める力を持つ者も、もはや一人しか残されていない。雄々しき虎の心を持った、瞳真っ直ぐな少年しか残されていない。
王が誕生する日は近い。月が出ている。
KLAN XI 盟友編
原案/田中芳樹 文/岡崎裕信 イラスト/いのまたむつみ
定価540円(税込)
アリョーシャ死す!? 3ヶ月連続刊行! の2冊目。
罠にはまった虎ノ介はルネまで奪われてしまう。失意の虎ノ介に伯爵からのメッセージが届く。なんと伯爵は幼い風子を自分の妻として迎えようというのだ。もはや決戦あるのみ。だが貨物列車に飛び乗った少年達に白き狩人が襲いかかった。虎ノ介を守るため、アリョーシャは敵ともども谷間に消えた!
床一面に広がる血だまりが、第一ラウンドの惨敗を告げていた。
三匹の若き獣に宿る闘志は、はたして反撃の旗印となるだろうか。第二ラウンドの行方は、どんな優秀なアナリストでも解析できないほど、混迷としている。 「風子をいますぐ解放するんだ。おれだって、人を殴るのはあまり好きじゃない。風子を返せば……そうだな、二・三発で許してやってもいい」
妹を救うべく廃ビルに突入したのは、精悍なる黒髪。日高虎ノ介。
最愛の妹が連れ去られたことを知り、猛虎を宿す少年の心には、激しい怒りが渦巻いていた。
「三対一でも、おれは躊躇せえへんで。ぜんぜん卑怯とも思わんし。何百人ものおたくの部下に、ついさっき襲われたばかりやからな」
日高風子に強い愛情を抱くもうひとりの少年も、激情を抑えるのに必死だった。アレクセイ・ニコライヴィッチ・カザノフ。美しく金髪の流れる、ロシア生まれの少年だった。
すでに彼は、血に宿る神秘を解放し、小山が如き羆となって敵を威嚇していた。金褐色の毛並みに力が漲る。鋼の筋肉には高圧電流のような闘志が封じ込められていた。
KLAN XII 完結編
原案:田中芳樹 文:岡崎裕信 イラスト:いのまたむつみ
定価540円(税込)
史上最大河(当社比)傑作バトル・ファンタジー、ついに完結!
リンフォード伯爵所有のホテルで、ついに虎最終決戦が始まった! 世界の王にならんとする伯爵は、容赦なく虎ノ介に襲いかかる。しかし時を同じくして、アメリカ合衆国もハムランムルを殲滅させるために動き出していた。風子やルネの安否も気になる中で、ホテル倒壊のタイムリミットは刻一刻と迫ってきて…? 一度は失った大切なものを取り返すため、虎ノ介は決戦に全てを賭ける!! 原案・田中芳樹も共著で綴る血族の激闘、ついに完結!
「このハムルは、風子! おれだ! 虎ノ介だ!」
「ぬうッ、風子か!」
虎と獅子は、お互いに対する注意を切らさぬまま、それとなく周囲を探った。
だが少女の姿は見当たらない。どうやら言葉は、ハムルの共振をもって離れた場所からもたらされたようだ。
「無事なのか、風子」
「うん、風子は大丈夫。お兄ちゃん、連絡が遅れてごめんなさい。ハムルを使った交信が、邪魔されちゃう部屋に閉じこめられていたの」
そうだったのか。しかし、無事でなによりだ。
「コホン、わたしも捕らわれていたのを忘れてはいないかしら。もしかして、風子が無事ならそれでよかったのかしら、お兄さん?」
続けて届いたのは、どこか恋人を責める様子のルネの声だった。慌てて黄金の虎は弁明する。
「そ、そんなことはないよ。でも、ルネのことだから、自分ひとりで伯爵を倒してしまっていることも、その、ありえるんじゃないかと……」
「本当かしら。ところでトラ、あの口の減らないロシア人はどうしたの。アリョーシャのハムルだけは、どこを探しても見当たらないのだけれど」
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