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パーフェクト・ブラッド 1 彼女が持ってるボクの心臓
赤井紅介 イラスト/椋本夏夜
定価620円(税込)
憧れの彼女のヒミツ!? 魔法で繋がれた恋と激闘!
高校生の裕樹は事件に巻き込まれ、見知らぬ少女をかばい致命傷を負ってしまう。保安組織の少女魔法士・透華の力で一命をとりとめるが、魔法により彼女と密着して10日間過ごすハメに! しかも助けた少女は透華のご主人様で、天宮財閥の総帥だった!? 少女をめぐる犯罪結社との対立の中、裕樹自身の秘密が更なる戦いをもたらす! 魔法で繋がれた二人の恋と激闘!!
全身で彼女の肉体を感じて、ぼくらはもつれ合いながら我先にと浮上する。一瞬後、ぼくらは互いに飛び退くようにしてカラダを離した。
「……プハッ!」
終わった。殺されるかもしれない。ドクンドクンと心臓は鳴りやまない。
うるせーぞ、心臓! 彼女の機嫌次第では、おまえの鼓動も止まるんだぞ!
やや上擦った声で、東雲が叫ぶように言った。
「わ、わたしは忘れたっ。……選びなさいっ。春川は忘れるまで一方的に殴られるのと素直に忘れるの、どっちがいい?」
強盗事件のときに着ていた黒い服の上からも、学校の制服の上からでさえもプロポーションの良さは際だっていたが、これはなかなかどうして――。
「や、そんなだって……ごめん、忘れられそうにな――」
ゴッ!
直後、拳が脳天を直撃する。見えないのだから避けられるはずもない。
「イデッ!? え、えええええ!? 本気かよっ?」
「素直すぎる人は早死にするわよ。どう? まだ覚えてる?」
「お、おおう……わ、忘れます……忘れましたっ」
嘘をついた。両手の中に残る彼女の細く柔らかい生の感触は、生涯覚えておくと誓おう。
パーフェクト・ブラッド 2
恋する魔女と、シアワセの魔法
赤井紅介 イラスト/椋本夏夜
定価560円(税込)
助けた少女は魔法士だった? 魔法と恋と激闘が加速する!!
高校生で新人魔法士の裕樹は、繁華街で追われる少女サーニャを助ける。サーニャは助けた裕樹にペッタリで、相棒・透華の視線が痛い。そんな中、サーニャを狙った犯罪結社の襲撃が! 裕樹とサーニャ、二人の原書をかけて、結社の天才魔法士タオとの戦いが始まる! 激闘の中で裕樹が下した決断とは!? 恋と戦いの運命、開幕!!
「はーい」
サーニャが備え付けのティーサーバーのボタンを次々と押してゆく。意外と気を遣うタイプなんだろうか。アイスコーヒーのあるぼく以外の、全員分の飲み物を運んできた。
サーニャはそれを嬉しそうに並べると、透華の座る位置とは逆側の、ぼくの隣のソファに、ふわりとプリン色のスカートを広げて腰を下ろした。
「よっ、と。アタシ、ユウキのとなり〜。えっへっへ」
「のわっ……」
サーニャがぼくの腕に手を絡め、発展途上の胸を押しつけてきた。たぶん、何も意識してないからこそだろうけれど、……思わずヘンな声を出しちゃったじゃないか。
透華がオレンジジュースのストローをタバコのようにくわえて、ジト目でぼくを見る。
「……」
雪子まで……。
な、なんだよ……。と思いつつも、絡められた腕をゆっくりと、アイスコーヒーを飲む動作に紛らわせて引き抜いてしまう、情けないぼく……。誰か助けて……。
パーフェクト・ブラッド 3
雪の夜想曲(ノクターン)†空の奇想曲(カプリス)
赤井紅介 イラスト/椋本夏夜
定価600円(税込)
あらわれた純白の少女! 彼女の罪と願いとは!?
学校帰りに出会った少女は、突然、裕樹に抱きついた! 可憐で無邪気すぎる金髪少女カトリーナの登場に、裕樹たちは振り回されっぱなし。しかも彼女は、極秘である裕樹の力まで知っていて? 彼女自身にも重大な秘密があるらしく… 少女が背負った宿命と大罪とは!? 裕樹と透華の新たな戦い!!
「あけー?」
バァンと音を立てて、勢いよくドアが開いた。目を疑う。まるで新雪のような、真っ白なカトリーナが飛び出した。マヌケなことにぼくは硬直してしまい、脳の処理が遅れる。
何が起こったのか、事態を処理できない。壊れた電卓のように、演算を放棄する。
「……」
「……うぅ?」
カトリーナが首を傾げてぼくを見て、にぱ〜っと笑った。
「ばかーっ!」
一秒と置かずに、びしょ濡れとなったメイド服姿の透華が飛び出し、カトリーナの頭部をわしづかみにして、地獄の底へと引きずり込むかのように、全裸の少女をぼくの視界から奪い去って行った。
バァンッ!
悲鳴のごとき炸裂音を立てて、ドアが閉ざされる。
パーフェクト・ブラッド 4 道化の魔女と、刻の誘い
赤井紅介 イラスト/椋本夏夜
定価600円(税込)
魔女の狙いは裕樹!? 米軍の少女魔法士が登場!
激闘の日々をおくる裕樹と透華。二人の安息の地である学園、それも二人と同じクラスに、世界最強といわれるMTF(米軍魔法士部隊)の少女エレインが転入してきた! 級友に裕樹と透華の秘密がバレちゃう!? エレインは原書を持つ裕樹に興味いっぱいで……透華のヤキモチも爆発! その影では、アミュレットと米軍の極秘交渉が進みつつあった。謎の黒衣の少女も現れ、高校生魔法使いたちの戦いは新たなステージへ!!
「あんたはあんたはあんたはあんたはーーーーーーーーっ!」
「ノォォォォーーーーーーーーー! ヘルプ! フォーギーブミィィィィーーーー!」
うわ、なんて声だ。さすがに止めないと、悲鳴を聞きつけた生徒たちが階下に集まってきてしまう。
「と、透華、落ち着けって!」
ぼくは透華の両脇に手を入れて、エレインから彼女を引き離した。エレインは階段に倒れたまま、グッタリとして涙を溜めた瞳で透華の様子を伺っている。
「と、透華ってこんなに凶暴だったのね……」
うわ、余計なことを言うな!
「ンなぁんですってェーーーー!? 裕樹、放しなさいッ!」
「だ、ダメだって! イデ!」
「ぜ、絶対放しちゃダメさね! も、猛獣は捕まえとかないとダメーーーーーーーー!」
「ンナァァぁんですってェーーーーーーーーーーーッ!?」
だから余計なこと言うなって!
パーフェクト・ブラッド 5 海風と魔女の小交響曲
赤井紅介 イラスト/椋本夏夜
定価580円(税込)
真夏の無人島♥ 恋と魔法で決戦!!!
幼い魔女・小羽の依頼で、真夏の無人島に透華とお泊まり!? 裕樹は、夢のような任務に浮かれる。魔力の調査任務には危険もなく、海水浴にバーベキューに夜の怪談と、幸せいっぱいのバカンス♪ けれど、無人島にはとてつもない秘密が隠されていた! 謎の石像を巡り、石丸、雪子、依頼者の小羽も交えて、結社の天才魔法士タオとの決戦の時、ついに迫る! その瞬間!?
突然、ビーチボールがものすごい勢いでぼくの顔面に直撃した。
「ッで! ぐあぁぁぁ……」
思わず背中から砂浜に倒れ込むくらいの剛速球だ。鼻の奥がジンジンする。ビーチボールの威力じゃないぞ、これ。
「ふが、な、何すんだっ!」
身を起こして抗議する。波打ち際に立っていた透華が、投げつけたであろう自分の両手を不思議そうに見下ろして、ぽつりと呟いた。
「あれ〜? えへ、何か知んないけど、ムカついちゃった。ふっしぎー!」
「む……むか……って、おまえ、このやろっ」
ぼくはビーチボールを両手でつかみ、白い砂浜を蹴って走り出す。逃げ惑う透華の後頭部へと、大きく振りかぶってビーチボールを投げつける。
「わっ、ごめんって! あはは! ――イタッ!」
「はは、ザマァ! ――ぎゃあっ! お、おまえ、跳び蹴りは反則だろ!? せめてビーチボールを使――えぼばっ!」
海に沈められたぼくは、あわてて海面に顔を出す。瞬間、ビーチボールを両手で抱えた透華が、自慢の脚力を駆使して空高く舞い上がり、ぼくの顔面にダンクシュートを叩き込まんと両手を上げる。
「とりゃあっ!」
つ、使い方間違って――!
「――ぼびっ!」
直接打撃にビーチボールを挟めばいいってもんじゃないってんだぁぁぁ……ぁぁん!
パーフェクト・ブラッド 6 偽りの世界と虚飾の神
赤井紅介 イラスト/椋本夏夜
定価620円(税込)
裕樹と透華の秘密がバレた!? しかも結社との決戦が…!
ついに透華に告白した裕樹。でも、彼女の返事は曖昧なまま。友人らが見守る前で、裕樹は2度めの告白をするが……!? しかし、魔法士としての戦いが、幸せな日常を破壊する! 最悪のタイミングで結社の拠点が判明し、かつてない危険な大規模作戦が開始される! 2度めの告白と世界の行方は? 裕樹の手は求める希望に届くのか!? 激戦開幕!
透華の背中越しから忍ばせた手を伸ばして、額をペタリ。だけど、熱を感じる前に――。
「ギャアアァァァァーーーーーーーーッ!!」
予想外に大きかった透華の悲鳴に驚いて、両手を引く。ぼくらは瞬時に互いの身体を遠ざけて、シングルベッドの端と端に位置を変えていた。透華に至っては、まるで街中で熊と遭遇してしまった都会人のように、震えながらベッドの柵に貼り付いていて。
「ひぅ……」
さらに真っ赤に染まった顔だけを、ぼくに向けていた。
「あ、あの――?」
「わぁッ!」
柵に背中を押しつけて、透華がさらに下がろうとする。
え、ええ……えぇぇぇーーーー? き、嫌われた?
高鳴る心臓。視線が絡み合う。透華がゆっくりと、ぼくの方へと躙り寄ってきた。そのまま真横にチョコンと座り、うつむいて呟く。
「ふぐ……、ご、ごめんなさいぃ……」
ぱ〜ふぇくと・ぶらっど A Happy×2 Week
赤井紅介 イラスト/椋本夏夜
定価560円(税込)
幸せな幸せな一週間!?
魔法士たち総登場の大フェスティバル!!
高校生なのに、凄腕魔法使いの裕樹と透華。彼らの大切な雪子お嬢様がお熱を出して、透華が甘〜い看病をしていたら……なぜか人類魔法士の頂上決戦に!? 恥じらいの耐熱下着開発秘話や、学園祭での大騒動、世界の果てで出逢った二人の魔女の話など盛りだくさん! 大人気『パーフェクト・ブラッド』初の短編集は、魔法士たちの幸せな1週間!! 初めて読んでも楽しめます♪
サーニャが舌を出して、二回瞬きをした。じりじりと滲み寄ってくる。
「あ、あの、ちょ、ちょっと、や、やめ――」
壁伝いに腰を引きずって、わたしはさらに距離を取ろうとする。
「動いちゃだーめっ」
サーニャは四つん這いで、先ほどまでと同じ微笑みを浮かべながら近づいてきて、わたしは内心をひた隠しながら、引き攣った笑みで地下室の角に背中を当てた。
わぁ、わああぁぁっ!
「わ、わたし、その――」
サーニャがわたしの頭部を両腕で抱え込み、再び唇を近づけ――。
「――す、好きな人がいるんです〜〜っ!」
パーフェクト・ブラッド 7 空、落ちる日
赤井紅介 イラスト/椋本夏夜
定価620円(税込)
大戦勃発! その戦いの中、裕樹と透華の恋は!?
ついに世界各地の組織が共同戦線を組み、結社との決戦が始まった! アミュレット主力として戦いに臨む裕樹と透華。仲間の魔法士が次々と倒れ、強敵タオやナシネスとの激闘が続く中、ついに覚醒したエウプロシュネの姿とは!? 最強の魔女・和泉菫も参戦! 命がけの戦場で、裕樹と透華が重ねた想いの行方は… 恋と魔法の最終決戦、開幕!!!
ぼくの背中を、柔らかい凹凸が包み込んだ。心臓が爆発するかと思った。死にそうな戦いとか、恐怖を感じる相手と対面したって、こんな跳ね上がり方はしない。
「と、透――」
「う、うるさい」
「あ、はい」
背中のシャツに両手でつかまって、透華がぼくの首に唇を押し当てて囁く。
「こ、これは返事じゃないから、勘違いしないでね」
頸部に当たる吐息がこそばゆくて、ぼくは振り返って抱きしめたい衝動に駆られた。心臓が押し出す血液で、血管がビクンビクンと痙攣している。
コクっと、透華の喉が鳴った。
――わたし、どうしようもないくらい……あなたのことが好きになってる……。
パーフェクト・ブラッド 8
壊れゆく世界と、天使の恋歌(セレナータ)
赤井紅介 イラスト/椋本夏夜
定価620円(税込)
裕樹と透華はついに!? 残された最後の希望!
ひとりの魔女による絶望…… 核兵器さえ上回る力は、わずか一撃で世界の20%を消滅させた。世界中の人々が息を潜めて破滅に怯えるなか、裕樹たちは世界を駆ける! 最後の希望にかけて! そして、行方不明のカトリーナは…? 仲間が裕樹のもとに集い始め、その時、裕樹と透華はついに!? 高校生魔法士の恋と激闘、最終局面!!!
「ばかね。ホントばか」
ため息をついて、ぼくは少しあきらめたように笑った。後頭部を掻いて脱ぎ捨てていたシャツに手を伸ばそうとしたとき、透華が蚊の鳴くような声で呟いた。
「……破らないで。自分で脱ぐから……」
へ?
透華が自らブラウスのボタンを外して視線をぼくに戻した瞬間、ティッシュを両方の鼻に詰め込んだぼくの顔を見て、突然噴き出した。
「ぷ、あは、あはははははははっ! 何その顔! 興奮しちゃったのっ!?」
「アホかぁ! おまえが殴ったんだろぉ!?」
だけど結局、ぼくも釣られて笑ってしまったわけで。笑いながらぼくらはベッドに腰掛けて、コツンと額をぶつけ合って、互いの唇を重ねた。軽く触れて、唇はすぐに離れる。
見つめ合い、熱い吐息が混じり合った。
愛しい。そんな言葉は生涯使うことはないと思っていた。だけど目の前の透華を見て、ぼくは心の底からそう思った。他の言葉のすべてが当てはまらない。
風が窓を揺らした。光の消えた街は静かで、彼女の呼吸音がやけに鮮明で。
「……もう疲れちゃった……。だから信じる。……これからずっと、あなたの言葉のすべてをバカみたいにただ信じる……から……」
ただ、愛しい――。
声を震わせて、透華が濡れた瞳を下げた。
「……だから、ずっと一緒にいてください……」
パーフェクト・ブラッド 9 The Last Chapter
赤井紅介 イラスト/椋本夏夜
定価620円(税込)
未来を懸けて… 魔法士たちの最後の戦い!!!
大魔女エウプロシュネが、ついに目覚めた。彼女は強大な魔力で、地球上の生命を滅ぼそうと動きだす! 世界各地に巨大な金属の獅子が出現し、全てを破壊し始める中、互いの想いを確かめ合った裕樹と透華は、新たな仲間とともに命がけの最終決戦に挑む! そこで裕樹たちが見た世界の真実とは!? そして、裕樹が秘めた最後の手段とは! 魔法と恋の人気シリーズ、感動のクライマックス!!!
「仲間の仇だッ! くたばりやがれッ、化け物がァァァーーーーーーーッ!」
ひゅっと空で反転したエウプロシュネが、追撃の『大鎌』を無造作に片手でつかみ上げて握り潰し、上空から片腕を薙ぎ払った。
「ぐっ――がはっ!」
『大鎌』の破片とともに、タオが超重力に囚われて大地へと叩き付けられ、大量の血を吐いた。レムリアの大地が沈み込み、骨の音が響く。
「くそが……ッ、こんなところで終われるか……ッ」
かろうじて立ち上がったタオを目がけて、エウプロシュネが両膝を曲げた。
「タオ!」
ぼくと透華が同時に大地を蹴った。ぼくはタオの襟首をつかんで場所をずらし、透華が白熱の爪でエウプロシュネの外殻を縦に割って溶かす。その下から現れた白熱のドレスへと、透華が再び爪を突き入れた。
「――喰い散らせッ『フレイム・ゴースト』ッ!!」
透華が吼えて、彼女の中の『魔神』がエウプロシュネの熱を無限の食欲で喰らう。
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(C)椋本夏夜/集英社
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