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影≒光 シャドウ・ライト 突破編
影名浅海 イラスト/植田 亮
定価680円(税込) |
| お前の感じてる痛み、全部消し去ってやるよ |
| ミンティを連れて学院に向かっている光輝たち一行は途中、“花の街”ハロゲイトに到着する。いつものように御影とルーシーが光輝の主導権を争う中、ひとりミンティだけが浮かない顔をする。そうハロゲイトはミンティにとって忘れられない街だった――。ひとつのリボンがミンティ・ジュエル・ベルタの三人を結びつけ、絡み合った三者のわだかまりを陰陽師の双子の姉弟が解きほぐす……。 |
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ルーシーは近頃――正確に言えば四日前からかつてないほど機嫌の悪い日が続いていたのだが、今の彼女はとても機嫌が良かった。
何故なら――――。
ルーシーは何処までも真っ直ぐ正面に伸びる道から、ちらっと上のバックミラーの方に目を移す。本来、車の後方を確認するために備えられているそれは、不自然なほどに下を向いて後部座席の左端――丁度、ルーシーが座る運転席の真後ろに座る少女の姿を映し出していた。
絹糸のような艶と滑らかさを持つ黒髪を長く伸ばし、顔立ちは大和撫子という言葉を体現したかのような淑やかで可憐な東洋の風貌。白いTシャツの上に桜色のパーカー、デニムのロングスカートという服装の少女――星之宮御影。ルーシーと同じく、やはりその容姿からは想像出来ないが彼女もまた神秘を具現化する日本の呪術師――五行の理を以て妖魔を祓う陰陽師である。
そして今――彼女の表情は困惑に満ちていた。その表情たるや、まるで百年かけても解けない難題を突きつけられたかのよう。
そんな彼女の表情を鏡越しに一瞥したルーシーはサッと顔を正面に戻し――途端、その唇に微笑を滲ませた。
――これが彼女の機嫌のいい理由である。 |
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