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テンプテーション・クラウン
雪野 静 イラスト/ゆーげん
定価650円(税込)
「貴方を護りたい。……私を、貴方の傍にいさせてほしい」
少女の誓いが少年の世界を変えた。
あなたを魅惑する物語が始まる。
選定者。それはこの世界に墜ちた神や悪魔をその身に宿し、力を行使する者。
高校生・アキトはある日、悪魔・ゼファの力を得る。
ゼファの力はとても弱く、密やかなものだったが、アキトに劇的な変化をもたらすことに。
その力“魅惑”は最高の選定者・『王冠』の名を冠される美少女・ルヴィの心を虜にしてしまい、 さらにはルヴィの変化を良く思わずアキトに接触する『王冠』彩姫にまでにも影響が及ぶ。
アキトはどうにか力を解除して、現状を正常化しようとするのだが、 なし崩し的に少女たちとの同居生活が始まってしまう。
一方、ルヴィや彩姫に匹敵する“魔王”が街に来訪する。その秘めたる目的は…!?
荘厳なる力が導く物語が、今あなたを魅了する。
モノクロ 「彩姫よ」
 と、アキトに言った。
「これから私の事はそう呼びなさい。親愛を籠めてよ。あと、敬語も禁止。同い年だもの。それって変でしょう? その二つの条件が呑めるのなら、いいわ。止めてあげる」
「……わかったよ、ええと、彩姫」
 おっかなびっくりに名前を呼ぶと、彼女はふわっとした笑顔を浮かべて、
「ふふ、光栄に思いなさい。私を呼び捨てにしていいのなんて、この世界で貴方くらいなんだからね」
 なんて、弾んだ声で言った。
「むぅ」
 と、小さな唸り声が微かに聞こえる。
 ちらりと見ると、ルヴィが難しい顔で唇をやや尖らせていた。
 そして顔をあげた彼女は言った。
「わ、私も、ルヴィと命令するように呼んで欲しい」

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テンプテーション・クラウン 2
雪野 静 イラスト/ゆーげん
定価540円(税込)
最弱が最強を虜にする。
アキトを慕う三人の美少女と始まった共同生活。
彼女たちの想いが向かう先には…!?
選定者。それはこの世界に墜ちた神や悪魔をその身に宿し、力を行使する者。
悪魔・ゼファによって“魅惑”の力を不本意ながらも得てしまった高校生・アキトは絶対的な力の称号『王冠』の名を冠された三人の美少女と騒がしくも、そこそこに平穏な共同生活を送っていた。
しかし、ある日それは一変する。
ルヴィの“英雄”の力が失われてしまったのだ。
世界のバランスにも影響する一大事に、
なんとかこの事実を隠そうとするアキトたちだったが、綻びは確実に広がっていた。
一方、当事者のルヴィは力がなくなったことに戸惑いを覚えつつも、初めての体験に心を躍らせていた…!?
荘厳なる恋と戦いの物語。第二幕があなたを虜にする。
モノクロ  そして、鏡の前に立った。
 つぶさに観察していた草薙萌恵の魅力を、なんとか自分のものにできないだろうかと考えたのだが、とりあえず表情を真似てみようと思いついたのだ。
 鮮明に覚えているうちに、この鏡を使って取り込んでおこうという算段だった。
 まずは、じっと自分の顔を見てみる。心なし不機嫌そうな表情をしている。そこにいつも式典で繕う笑みをうかべてみた。不自然なところはないが、萌恵の笑顔とはまったく違う。
 彼女はもっとこう、口角を上げて、目元を緩めて……
(……こ、これは、酷いな)
 奇怪になってしまった自分の表情に、思わず目尻が引き攣った。
 似ても似つかない表情。
 ため息とともに両肩が落ちる。
(なにをやっているんだ、私は……)
「どうしたの?」
 と、後ろから声がかかった。

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テンプテーション・クラウン 3
雪野 静 イラスト/ゆーげん
定価600円(税込)
「好きです。貴女が」
告げられた言葉が、世界を変える…!
選定者。それはこの世界に墜ちた神や悪魔をその身に宿し、力を行使する者。
望まざる“魅惑”の力を得てしまった高校生・アキトは“英雄”ルヴィ、“叡智”彩姫、“破滅”ラースの三人の『王冠』の美少女に想いを寄せられていたが、彼の想い人は他にいた。
草薙萌恵。
ずっと片想いを続けてきた彼女に、気持ちを伝えることを決心したアキトに、ルヴィや彩姫は複雑な気持ちで…?
『王冠』ルクツァーの誘いでキャンプに訪れたアキトたち一行を、予期せぬ事態が襲う。
『王冠』の少女たちと引き離されてしまったアキトに迫る強大な力に、魔王と呼ばれた少女が一人で立ち向かう…!
荘厳なる恋と戦いの物語第三幕もあなたを誘惑する。
モノクロ 「シュウマイね。結構大きいな」
 箸で二つに分け、「あーん」と開かれている彼女の小さな口に運ぶ。
 ……なんというか、妙に気恥ずかしい行為だとそこで実感する。
「美味しいです。アキトさんは人の口に食べ物を運ぶのが上手いですね」
「あ、えっと、そんな風に褒められたのは初めてかも」
「ふふ、次はウインナーをお願いします」
「う、うん」
 タコのカタチに切られたウインナーを箸で摑んで、再びラースの口の中に慎重に運んで――そこに、ドアが開かれる音が鳴った。
 萌恵である。
 昨日、ある意味完全な蚊帳の外に置かれていた彼女は、ラースの怪我の状態もよくわかってもいなかったのだが、色々と悩んだ末にここにやってきたのだ。そして少し緊張していたこともあって、ノックをするのを忘れた。
「ラースさん、怪我したって聞いて、大丈――」
 二人の親密にしか見えないシーンを前に言葉が途切れる。
 アキトもまったく予想していなかった事態に間の抜けた表情で萌恵を見た。ラースは密かにくすくすと笑っていた。

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テンプテーション・クラウン 4
雪野 静 イラスト/ゆーげん
定価600円(税込)
喪失は終焉に似ている。

ついに失われたアキトの“魅惑”の力。
そして手に入れる真なる想い。
しかし、運命は少女たちを翻弄する…!!
選定者。それはこの世界に墜ちた神や悪魔をその身に宿し、力を行使する者。
ルヴィ、彩姫、ラース。
選定者の中でも絶対の力を有する3人の『王冠』を虜にしてきた“魅惑“の力を不本意に思っていたアキトは、ついにその力の消去に成功する。
それは、不可思議な同居人、悪魔・ゼファとの別れも意味していた…。
アキトは男とも女とも知れぬ「彼」との生活が嫌いではなかったと思う。
アキトの力の喪失後も、不思議な均衡を保ったまま続く四人の日常。
しかしある時、ルヴィの前に新たな選定者が現れる。
なぜか目を離せないルヴィ。
その男は“魅惑“の力を有していた…!?
荘厳なる恋と戦いの物語第四幕。喪失は終焉に似ている。
モノクロ 「私の悩んでいたこと、全部解消してくれた」
 そう、言ってくれた。
 ヤバいと思った。
 微かに涙を滲ませる彼女が本気で可愛いくて、抱きしめたいと思ってしまって、気付けば自分から距離を縮めるみたいに上体を彼女の方に傾けていた。
 ルヴィに嫌がるそぶりはなかった。一瞬驚いたように目を見開いたけれど、目を逸らすことなく真っ直ぐにアキトを見た。
 頬が仄かに赤く染まっていた。
 零れた吐息が不自然なほどに艶めかしく聞こえる。
 アキトは呼吸をすることも忘れて、ただ突き飛ばされるように生まれた衝動に負けていた。肩に手を置いて、磁石になったみたいに彼女の唇に惹かれていく。
 頭の片隅で警鐘はなっていたけれど、もう止められそうになかった。
 それにトドメを刺すように、彼女はゆっくりと目を閉じて――


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