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はるかかなたの年代記 双貌のスヴァローグ
白川敏行 イラスト/ふゆの春秋
定価620円(税込)
この出会いは必然。
ユウとカティアとクリス。
彼方の星でいま、友情が導く物語がはじまる。
「……僕って、トラブルに引き寄せられる体質だったっけ?」
フラムスティード学院の入学式に向かう途中、女性顔に悩む少年・ユウは不良に絡まれる子供をかばう、菫色の瞳の少女・カティアと出会う。
超常能力<換象>を用いてユウとカティアを傷付けようとする不良から、同じく<換象>で彼らを救ったのは、クリスという名の少年だった。
これをきっかけに友情を育み、共に学園生活を送ることとなった三人。
だが、ユウには誰にも言えない秘密があった。
それは、ある時から彼の身体に<チョールト>と呼ばれる人格が共生していること。
しかし、カティアとクリスにもそれぞれ秘密があって?
はるかかなたの物語が、今この時より紡ぎ始められる…!!
モノクロ 「少し失礼いたしますわ」  やおら後ろに回りこんで膝立ちになり、抱きつく形で身体を密着させた。
「か、会長!?」
『いきなり何しやがるんだ、この女!?』
 ユウの顔が一気に赤くなる。アレットはまるで頓着せず、
「貴方の〈換象〉で、もう一度石英からコップを作ってくださる?」
 耳もとでそんなことを囁いた。
 ――で、できないよこんな体勢じゃ。
 吹きかかる息でくすぐられるのを我慢しながら、心の中で泣きたくなる。生徒会長の身体は制服越しでも分かるくらい柔らかいし、温かいし、とてもいい匂いがした。フローラの方を見上げれば、どうしてなのか目を丸くして硬直状態だった。副会長からの助け船はとうてい期待できそうにない。
「さあ、早く」
 ねだるように急かされて、ユウは覚悟を決めた。ちょっとヤケ気味だった。
 子どもの頭サイズの石に両手を載せ、意識を集中する。ボヌール波の発生に「ミダース」が反応し、脳内のイメージを具象化しようとする。

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はるかかなたの年代記 2 荒ましき驃騎兵(ユサール)
白川敏行 イラスト/ふゆの春秋
定価620円(税込)
運命は変えられる。

気持ちを近づけるユウとアレット。
しかしそれはカティアに距離を感じさせることに。
守ると誓った少年は少女に何を伝えるのか。
彼方の星で、恋と友情が交差する。
人造人間としてその力を狙われる少女・カティアを守ることを決意したユウ。
自らも失われた三つの<換象>である<改変>の能力者であることや、 精神の裡に宿る人格・チョールトの存在などの秘密を抱えながら学園生活を送る彼は、 生徒会長のアレットとの訓練を通じ、実力を伸ばしていた。
これに伴って無自覚ではあるもののアレットとの仲も接近する。
だがその様子を見たカティアは特異な存在である自分に引け目を感じ、 ユウを避けるようになってしまう。
そんな中、カティア捕縛の密命が下され、精兵中の精兵「驃騎兵(ユサール)」が動き始める。
さらにはカティアを保護するグロリアにもユウの秘密が明らかになって?
はるかかなたの物語第二幕、少年は誓いを守れるのか…!?
モノクロ 「でしたらこうすればいいのですよ、生徒マミヤ」
 グロリアはユウの空いている手をおもむろに握った。初めて触れた物理教師の手は柔らかくてひんやりしていた。
「どうですか、生徒マミヤ。これで『教師と先輩に引率される一年生の図』が完成しましたよ?誰も校則違反だとは思わないでしょう」
 いいえ、重度の校則違反であると愚考いたします。ユウは心の中で反論した。客観的に見れば「捕まって連行される宇宙人の図」に近いのだが、人目を引く絵面なのは疑うべくもない。ほかの生徒が今はいないとはいえ、目撃されたら大変な気がして顔色が青くなる。
 なのにアレットの方はアレットの方で、
「名案ですわ、教師レーナー」
 などと向日葵の微笑みを浮かべていた。どうも偽装工作が完璧になったと本気で信じているらしい。

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はるかかなたの年代記 3 夜魔が踊る
白川敏行 イラスト/ふゆの春秋
定価650円(税込)
恋は突然落ちるもの。

カティア、アレット、グロリア。
ユウを取り巻く少女たちの想いは強さを増していく。
だが、少年はもう一人の菫色の瞳の少女と出会う。
彼方の星で、物語は加速する。
生徒会長・アレットが所有する別荘にバカンスに訪れたユウたち。
休暇を楽しむ一方で、ユウとアレットは<換象>の<共鳴>の習得を試みる。
<換象>の効果を増幅するこの現象は、快感を誘発させる副作用があり、
二人はそれに恥ずかしがりながらも訓練を続けていた。
一方この地では、恐るべき計画が進行していた。
そこには「天使の抱擁」と呼ばれる薬物を用いて、
街を混乱の渦へと巻き込む「饗宴」を行おうとする
カティアの父親、<鉄の王>の姿が…。
そんなある夜、ユウは菫色の瞳をした一人の少女と出会う。
誰かに面差しの似たその少女に、ユウは目を奪われるのだが…?
モノクロ 「ユウ・マミヤ、貴方は私の服装をどう思いますか?」
「どう思いますか、って……」
「似合っているのかそうでないのかを訊いているのです」
 早口ぎみに追加説明をする。どうやら恥ずかしがっているらしい。グロリア・レーナーと一緒で、スマートな外見とは裏腹に隙の多い人みたいだ。
 ユウは微笑ましい気持ちになりながら答えた。
「似合っています」
 マリーはすぐに聞き返した。
「本当に?」
「本当です」
「貴方の信じる神に誓って?」
「信じる神に誓って」
「――そう、だったら嘘じゃないのね」
 マリーはホッと胸を撫で下ろした。自分のファッションセンスに不安を抱いていたようで、ユウは首をかしげる。こんなに綺麗な人が、たかが服装のことで不安になったりするものだろうか?
 さっき〈チョールト〉が口にした「浮世離れ」という表現が、頭の中に浮かんだ。
 ――この人は何者なんだろう。


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