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一天四海のマーガレット 80日間世界一周
北沢大輔 イラスト/呉マサヒロ
定価620円(税込)
没落貴族と美少女の80日間スタート!
19世紀のロンドン、英国貴族エリオット・マクスウェルは、先祖が遺した莫大な借金を背負いながらつましく暮らしていた。しかしある日、彼の館が突然大爆発! 地下に眠っていた美少女と共に80日で世界を一周しなければ、人生の全てを失ってしまう! ヴェルヌの『80日間世界一周』だけを頼りにロンドンを飛び出した二人を待つものは……?
モノクロ 「いつまでレディを立たせておくつもりなの?」
「あ、ああ! うん、さあ、座って」
 エリオットは慌ててシェリルの手を取って、ベンチへと導いた。優雅な所作と身なりを見れば、彼女が上流階級――それもエリオットとは違う、正真正銘の――であることは明らかだ。
 シェリル・スチュワートは、大貴族であるスチュワート公爵の一人娘だ。
 生まれてから五歳まで、エリオットは同い年のシェリルと一緒に育てられた。その頃から、まるで花のように可愛らしかったシェリルは、愛らしさも美しさもそのままに、今や立派な淑女になりつつある。
「いいお天気だね」
「そう? いつもと同じ、うんざりするような曇り空だわ」
「シェリルに会える日なら、雪でも嵐でも、いつだっていい天気だよ」
 エリオットは本気でそう思っていたけれど、どうやらシェリルは違うらしい。
「曇りは曇りでしょ」
「ああ、うん。そうだね……」
 肩を落としながら額の汗を拭うエリオットを、シェリルが睨む。
「まさか、お天気の話をするために、私を呼び出したの?」
「違うよ! そうじゃないんだ」


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