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ニーナとうさぎと魔法の戦車
兎月竜之介 イラスト/BUNBUN
定価580円(税込)
第9回SD小説新人賞大賞受賞作!
少女は戦う。戦車とともに。
吹 っ 飛 べ 戦 争 !
戦災によって放浪の身となった少女・ニーナ。
ある日、彼女は結婚式会場から食事をくすねようとしているところを見つかってしまう。
警察に突き出されることを覚悟したニーナだったが、魔動戦車とともに現れた少女たちによって赦される。
彼女たちこそ、戦争が生んだ災厄・野良戦車から街を守る私立戦車隊…通称・首なしラビッツのメンバーだった。
そこに野良戦車の襲撃を知らせるサイレンが鳴る。
かつて戦車に乗っていたニーナ。そして砲手がいないラビッツ。
ラビッツの戦車長・ドロシーはメンバーたちに向かって言い放った。
「たった今、新しい砲手が見つかった!」
第9回SD小説新人賞大賞受賞作、堂々登場!!
モノクロ  キキはニーナの肩をぽんぽんと叩き、背中を押して風呂場へ送り出す。バスタブにお湯をためつつ、彼女はニーナの体をシャワーで流した。汚れた水が流れ落ち、次第に透明になってくる。それからブクブクと泡を立て、強めの力でゴシゴシと洗った。
 最初こそ恥ずかしかったが、洗われているうちにニーナはキキの目を気にしなくなった。泥や垢も落ちて、一応はきれいな肌を取り戻すことができた。あばらが浮いて、すごく痩せていることもコンプレックスだったが、お互いにキズありと思えば自然と親近感がわいてくる。
「一仕事を終えた達成感だ」
「て、手間をおかけいたしました……」
「いいよ、こういうのは好きだから」
 体を洗い終えると、二人は熱い湯船に浸かる。

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ニーナとうさぎと魔法の戦車 2
兎月竜之介 イラスト/BUNBUN
定価650円(税込)
家族を探す旅に出たニーナ。
だがその先にも倒すべき敵と共に戦う仲間がいた!
ニーナは再び戦車に乗り込む!!
第9回SD小説新人賞大賞シリーズ第2弾!!
ゴシック&ロリータを身にまとい、世界で一番眼帯が似合う美少女・テオドーレは17歳にしてエンデ市の市長を務める貴族のご令嬢だ。私立戦車隊・ラビッツの面々は彼女の招待に応じ、エンデ市を訪れていた。一方、ラビッツを離れ、家族を探す旅に出ていたニーナは、エンデ市付近の開拓村で家族と、さらには意外な人物とも再会を果たす。
しかし、開拓村は野盗によって定期的な略奪を受けており、存亡の危機に立たされていた。野盗に抵抗し、戦うことを主張するニーナ。それに対して開拓民たちがとった選択は、ニーナを…!?
第9回SD小説新人賞大賞シリーズ、第2弾!!
モノクロ  震える市長は悩ましげにため息をつくと、彼女に対して情熱的な視線を投げかけた。
「今の暴言はなかなか良かったですよ、エルザさん。この街の市長たるもの……ギャングの脅し文句から議員のセクハラ発言まで、私にはありとあらゆる言葉耐性がついているのです。今となっては、むしろ暴言を吐かれた方が気持ちいいくらいですよ。そういうわけですから、せっかくなのでもう少しキツ目に罵ってくれませんか?」
 乙女的荒い息。
 テオドーレの放つ謎のオーラにエルザはペースを乱される。
「な、な、なに怒られて喜んでるのよ! へ、変態なんじゃないの? そもそも、あなたは市長とか貴族とか以前に私よりも年上でしょう? 年下の私に怒られるだなんて、恥ずかしいと思いなさいよ。この恥知らず!」

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ニーナとうさぎと魔法の戦車 3
兎月竜之介 イラスト/BUNBUN
定価680円(税込)
ラビッツの前に現れた気弱な美少女。彼女は実は…!?
温泉旅行に出かけた私立戦車隊・首なしラビッツの面々。
久しぶりの休暇に羽を伸ばす一行には、
妖精のような儚い美しさをもつ少女が同行していた。
少女の名はアリス。
ドクターのもとでメイドとして働く彼女は、
テオドーレの事件で研究所から脱出し、
ラビッツに救助を求めた人物だった。
ドクターの命でラビッツと同居することになったアリスだが、
なぜかみんなから距離を置くように振る舞う。
アリスと友達になりたいと思うニーナも、
彼女から強烈に拒否されてしまう。
これにはアリスの過去と驚くべき秘密が関係していて…?
第9回SD小説新人賞大賞シリーズ、第3弾!!
モノクロ  なにせ、とにかく可愛いの一言に尽きる。体を包んでしまうような……長くてふんわりとした黒髪は艶やかで、つぶらな丸い瞳は宝石のようにキラキラしている。肌は透き通るように白くて、赤く上気した頬と、桜色の唇をなおのこと綺麗に見せていた。体を隠すタオルから覗いている手足は、細くて小さくて、触れたら壊れてしまいそうだった。
 まるで名工の作った人形か、あるいは月明かりの下で育った妖精のような……とても浮世離れした儚さが感じられる。そんな彼女が怯えた表情をして、所在なさそうにキョロキョロとしていたら、ついつい声を掛けたくなってしまうのも無理はない。
 ニーナも何か話しかけようと思ったけれど、上手に言葉を選ぶことが出来なかった。どんな言葉をかけたとしても、彼女の心を傷つけてしまうような気がするのである。美しい人形も、おとぎ話に出てくる妖精も、そっとしておかないといけないのだ。
 でも、そこは頼れる戦車長である。
 脱衣所を出た先で突っ立っているアリスに、明るくドロシーが声をかけてくれた。
「せっかくの貸し切り状態なんだからさ、ほら、入って来なよ」
 すると、アリスはあたりを見回して、
「あの……私、あっちのお風呂に入りますから、」
 答えるなり、小さい歩幅でパタパタと湯気の向こうへ駆けていった。
 遅れてサクラが気づく。
「……あっちにあるやつ、水風呂ですけど」

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ニーナとうさぎと魔法の戦車 4
兎月竜之介 イラスト/BUNBUN
定価650円(税込)
クーがラビッツを離れる!? 素直になれないエルザは…?
私立戦車隊・ラビッツの動力手・クーに届いた一通の手紙。
それはあこがれの先輩・エミリアからの国立学園への復学の誘いだった…!
願ってもない知らせに素直に喜びを表すクー。
しかし、復学するためには、当然ラビッツから離れなければならない…。
一方、学園の新入生歓迎祭に招かれたラビッツ一行だったが、エルザはエミリアの貴族としての矜恃に打ちのめされることに。
さらにクーのエミリアへの強い好意を見せつけられたエルザは、クーにひどい言葉を投げつけてしまう!?
第9回SD小説新人賞大賞シリーズ、第4弾!!
モノクロ 「ちょっと、ドロシーさん、押しすぎですよ!」
「サクラが後ろから押してくるんだって、」
「いやだって、ドアに張り付かないと声が聞こえないですから――」

 ドアが重さに耐えきれず、いい大人が三人も固まって部屋に雪崩れ込んできた。一度は布団に潜ったのだが、どうしても気になって眠れずに……という感じだろうか。三人とも寝間着を着込み、サクラに至っては肩に毛布を羽織っていた。
 取り繕うようにキキがハンサムな笑顔を向ける。
「よく決意をしてくれた、エルザ」
「……下敷きになってる人に言われてもアレな感じだけど、ありがとう」
 今度は一番上で被害の少ないサクラが微笑む。
「やっと素直になってくれましたね!」
「べ、べつにサクラに対しては気を許した訳じゃないわよ!?」
 そして、真ん中のドロシーは静かな声で尋ねかけた。
「明日にでも行く?」
「ええ……」
 エルザは首を縦に振る。

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ニーナとうさぎと魔法の戦車 5
兎月竜之介 イラスト/BUNBUN
定価650円(税込)
「結婚してください!」
サクラの結婚とラビッツの未来を賭けたレースがスタートする!!
愛車・ラビット号の砲身がニーナの魔力に耐えきれずに折れてしまい、その買い換えの費用を稼ぐため、アンフレック一周の賞金レースに出場することになったラビッツ。
そんな折に出会った天才発明家にして大金持ちの青年社長・コルノがラビッツのメイド・サクラに一目惚れする。
レースの主催者でもある彼は、規定の10倍の賞金とサクラとの結婚を賭けた勝負を提案するが、これをサクラが受けてしまう!
絶対に負けられないラビッツに、コルノの新型戦車と、それに搭乗するドロシーの過去を知る凄腕レーサーが迫る!
結婚・賞金・因縁!? 全てを賭けたレースが開幕する!!
モノクロ 「――あっ!」
 大声を上げたのはドロシーである。
 彼女はハッチを開け放ち、そこから顔を出していた。
 ドロシーの驚きようが気になったので、ニーナも一緒になって上部ハッチから顔を出す。
 そうして、彼女の目に飛び込んできたのは――根元から真っ二つに折れてしまった、ラビット号の砲身の姿だった。折れた砲身は車体の上を転がって、柔らかい農地に半分埋まるようにして落っこちていた。
 同じようにハッチから顔を出しているモニカ&ジーンと目が合う。
「ご愁傷様、ニーナちゃん」
「買い換え決定だな、こりゃ」
 次の瞬間、ニーナはこの夏で一番大きな悲鳴を上げていた。
「いや――――――――――――――――っ!!」


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