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六花の勇者
山形石雄 イラスト/宮城
定価670円(税込)
Real or Fake.
信じるか、疑うか。
救うか、滅ぶか・
闇の底から『魔神』が目覚めるとき、運命の神は六人の勇者を選び出し、世界を救う力を授ける。地上最強を自称する少年アドレットは、その六人、『六花の勇者』に選ばれ、魔神復活を阻止するため、戦いへ向かう。だが、約束の地に集った勇者は、なぜか七人いた。その直後、霧幻結界が作動し、七人全員が森に閉じ込められてしまう。七人のうち誰かひとりが敵であることに気付いた勇者たちは疑心暗鬼に陥る。そして、その嫌疑がまっさきにかかったのはアドレットで――。伝説に挑み、謎と戦う、圧倒的ファンタジー、堂々始動!
モノクロ 「冷静に、だ。お前の強さなら何も怖くない」
 そう言ってアドレットは、馬に鞭を入れて走り出した。
「ナッシェタニア!ついてこい!」
「は、はい!」
 馬の手綱を握りながら、アドレットは考えた。
予想通りの流れだ。凶魔たちは六花の勇者の各個撃破を狙っている。そのために周辺の村を焼き、人々を襲う。六花の勇者をおびきよせるためだ。前の戦いでは、その作戦で一人が命を落としている。
勝利のみを考えるなら無視して進むのが正しい。しかしそんな正しさなどくそくらえだ。何のために魔神と戦うのか。無力な人々を守るためだ。
「いた!」
 十匹の凶魔が、馬車の群れに襲いかかっている。体調は十メートルほどの、ヒルのような姿だ。頭の部分から一本の角と数本の触手が生え、触手の先に人間のものによく似た眼球がついている。
 凶魔は一種一系統の生き物でありながら、千変万化に姿を変える。今いるヒルに似たもの、巨大な昆虫に似たもの、鳥や動物に似たもの、人間に似て言葉をしゃべる者すらいる。
 ただ一つ共通するのは、頭部のどこかに角が生えていること。それだけだ。
 襲われているのは十数人の兵士、そして農夫と家族たちだ。多くは傷つき、何人かは命を落としている。アドレットは馬から飛び降り、凶魔の群れに向かって突撃していく。
「俺が足止め、ナッシェタニアはとどめだ!」
 後ろを走るナッシェタニアに向かって叫ぶ。アドレットは一瞬で小袋から鉄瓶を取り出した。蓋を外し、中身を口に含む。
「―――!」
 凶魔の何匹かが、アドレットを見つける。頭を持ち上げ口から液体を吹きかけてくる。アドレットはそれを前転で避ける。立ち上がると同時に、前歯の火打ち石を叩きつけた。
 鉄瓶の中身は特殊な調合をほどこした火酒だ。炎が正確に凶魔の顔面を襲う。払いのければ無傷で済む程度の火だが、凶魔は身悶えて苦しむ。
 想定通りだ。この種の凶魔は熱に弱い。
 アドレットの秘密道具は、ほとんどがそれ自体ではたいした威力はない。様々な道具を使い分け、凶魔の弱点を突くことに真骨頂がある。
「流石です!」
 ナッシェタニアが〈刃〉の神の力を使う。地面から生えた刃が三体の凶魔の首をはね、息の根を止める。

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六花の勇者 2
山形石雄 イラスト/宮城
定価660円(税込)
Love and Lie
愛には愛を、嘘には嘘を。

新たに現れた「七人目」。
そして一人の勇者が密かに挑む試練!
「七人目」だったひとりの六花は去ったが、ロロニアという少女が現れ、またもや七人になってしまった六花の勇者たち。魔神再起までのタイムリミットが迫っており、疑心暗鬼はぬぐえないまま、魔哭領の奥へと進む。するとそこへ一体の凶魔が現れ、モーラに「君には時間がない」と告げる。さらに凶魔を束ねる統率者の一体、テグネウが六花の勇者の前に突如現れる。それは「七人目」の関わる策略なのか!? 混乱の中で激闘が始まる!
伝説に挑み、謎と戦う、圧倒的ファンタジー、第2幕!
モノクロ 周囲に敵の気配はない。どうやら本当に、戦いはこれで終わったようだ。モーラは荒い息を吐きながら、テグネウが立ち去った方向を見つめていた。
「ふざけたやつじゃったな。あんなものが、凶魔の統率者か」
「いつも通りよ。吐き気がするほど」
 そう言ってフレミーが、今度はモーラに銃を向けた。モーラはさほど驚かなかった。フレミーが敵だとも思わなかった。敵ならば、テグネウがいるうちに攻撃を仕掛けていたはずだ。

「何をするフレミー」
「モーラ、一つ聞きたいことがあるわ」
 その目に込められているのは、殺意ではなく疑念だ。フレミーはモーラが七人目ではないかと疑っている。
「テグネウと何かがあったの?」
「………なぜそう思う」
「時間がない、そう言われた時のあなたの様子が不自然だった」
 どく、とモーラの胸が高鳴った。モーラは必死に冷静を装った。そして根も葉もない疑惑を向けられ、困惑するような表情を作った。
「不自然、か。そのような理由で銃を向けられては、命がいくつあっても足りぬわ」
「はぐらかさないで。きちんと答えて」
「何もない。こういえば満足か?」
 モーラはフレミーに近づき、銃口を下げさせる。
「フレミーよ。七人目の正体を見破ろうとするのは良い。だがあまり殺気をばら撒くな」
 何も答えず、モーラの目を見据えるフレミー。
「逆にお前が疑われるぞ。七人目を探すふりをして、本当は仲間を殺す機会を狙っていると。七人目はフレミーだ。言いがかりをつけてわたしを殺そうとした。わたしが仲間たちにそう主張したらどうするつもりじゃ?」
「………わかったわ」


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