第4回集英社ライトノベル新人賞ゲスト審査員講評

ONE

 どの作品も心理的な表現力が豊かで、登場人物の表面的なイメージだけでなく、心の内にある情景を思い浮かべやすく、読みやすい作りになっていました。
 ただ作り方が実直すぎる印象が残りました。
 世界観や設定の作りこみはガッチリしていたので、今後は読者に二度と忘れられない体験を味わわせてやろうという悪だくみを期待しています。

カルネアデスリング
 主人公ルクスの基本クールなキャラとは対照的に、周囲の人物によるギャグの弾数が意外と多くてエンタメ度を高めようという情熱を感じました。
 特にミレーヌが動くシーンは雰囲気やテンポ感が変わってキャラ立てができていると思いました。
 全体の印象は、状況描写や人物の言動の表現が丁寧ですが長く感じるときがあり、少し引き算で減らしてみるというのもいいかと思いました。
PHANTOM DARK
 葛藤を重ねつつも主人公の心が解放されていくのが良かったです。
 シンクの戦わない強さという部分は魅力的に見えました。
 物語の中でも大きな仕掛けとして使われていた『命の固形化』という能力が特徴的でしたが、その使い道に関してバリエーションを増やせばもっと面白くなりそうです。
 戦争というキーワードを使ってはいるものの権力者個人間の争いという印象だったので、兵士競売やドラゴン飼育という面白要素を入れるのであれば戦争自体も独自の新しい何かに置き換えるなどしても面白いかもしれません。
踊る死者と夢見る黄金
 復活させられた死者達が一周まわって生者以上に活き活きと感じられました。
 一人一人の個性が強く、掛け合いで生まれる笑いや、ちょくちょく発覚する意外な一面が、重苦しい雰囲気の敵との対比になっており、主人公勢を応援したくなる作風だったのが良かったです。

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