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藤原健市様。
さわやかのげんこつハンバーグ、美味しゅうございました。
という、地元の人間にしかわからない私信はさておき。
本リレーエッセイのテーマが「わたしが初めて書いた小説」だそうでして。うぅむ、困った。舞阪には「初めて書いた小説」という経験がないんですよ。恥ずかしくて埋めたくなるとか、希望に満ちているとか、野望に燃えているとか、そんな「初めての小説」体験がない。つまり、舞阪の場合、デビュー作(「プリンセス・ミネルバ」)が初めて書いた小説なのですね。
これが、小説を書くために生まれてきたような才気溢れる作家志望者だったから初めて書いた小説で華々しくデビュー……だと素敵にドラマチックなんですが、そんなことがあるわけもなく。というか、そもそも当時、小説を書こうとか小説家になろうとか、これっぽっちも考えていなかったんですから、小説なんか書いたことがないのも当然です。
では、どうして小説を書いて、どうしてデビューしてしまったのか。これには深い理由があるのです……いや、もしかすると「浅い理由」かもしれません。
小説家を目指していないので、もちろん新人賞に応募などしていません。
当時、舞阪は某ゲーム会社に所属していまして、そこでパソコンゲーム用の企画を立ちあげ、シナリオを担当することになったのです。そう、それが「プリンセス・ミネルバ」。その頃、たまたま集英社のスーパーファンタジー文庫(スーパーダッシュ文庫の前身)の編集氏と知り合いまして。で、彼に誘われたというか、騙されたというか、ハメられたというか。
以下、そのときの舞阪と編集氏のやり取りのダイジェスト。
↓
舞「今度、パソゲーのシナリオを書くんですよ」
編「そうなんだ。だったら、それ、小説化しない?」
舞「え? 無理無理。小説とか書いたことないですもん」
編「だって、シナリオ書くんでしょ? だったら書けるじゃん」
舞「いや無理ですって。長編どころか、短編一本すら書いた経験ないんですから」
編「最初から無理だって決めつけないで、やってみればいいじゃん。できなくて元々だし、書ければ儲けものでしょ?」
舞「儲けものかなぁ。まぁ、じゃぁ、とりあえずやるだけやってみますけど」
編「うん、頑張って。期待しないで待ってるよ」
こうしてその編集氏が担当者となって、パソゲー用の設定を元に書いたのが「プリンセス・ミネルバ」だったのでした。担当者といっても、その人と打ち合わせした記憶はありません。三百数十枚書いて渡したら、なぜかそのまま採用され、本が出ることに。これが、初めて書いたとは思えないほどデキがよくて……だったら素敵にドラマチックなんですが、もちろんそうではなく。担当氏、畑違いの小説の編集部に来たばかりで、どうもラノベとか(当時、そんな呼称はありませんでしたが)よくわかっていなかったみたいで、面倒くさいからそのまま採用しちゃったというのが真相らしいです。こんなにも適当でいい加減でやる気のないデビューを果たしたのは、業界広しといえども舞阪くらいではないでしょうか。一生懸命に小説の書き方を勉強して、習作を重ね、新人賞に投稿し、艱難辛苦の末にデビューを勝ち取った作家の皆様、ごめんなさい(土下座)。
まぁでも、デビューしちゃったものはしようがないですよねぇ(開き直り)。
小説の恥は書き捨て、印税はもらい逃げ、なんて思っていたら、意外にもそこそこ売れたらしく、シリーズ化され続きを書くことになり、そして今に至る……なわけです。気がつけば20年近くラノベ作家なんかやってます。いや〜〜、人生って不思議の連続。
さて、不思議といえば。
この作家さんも不思議。何度も説明を受けているんですが、未だにどうやって書いているのかが謎……という、舞阪のスキー仲間でもある葉山透さんにバトンを渡したいと思います。また来シーズンもスキーに行きましょうねぇ。
舞阪 洸(まいさか こう)
浜松市出身。元編集者で、現在ラノベ作家……らしい。
現在は札幌市在住(引っ越したばかり)。暑さに弱く、寒さにも弱い。
いろいろ忙しくて、カラオケと近場の旅行がせめてもの息抜き。
レッドカンパニー在籍中に「プリンセス・ミネルバ ウィスラー王国物語」(集英社スーパーファンタジー文庫)で小説家デビュー。
引き続き「火魅子伝」「火魅子炎戦記」(富士見ファンタジア文庫)などを発表した後に独立、今に至る。
気がつけば、今年の冬でデビュー20年目に突入する(予定)。
そんなに長いあいだ作家をやっていた自覚は、まったくない。
現在展開中のシリーズとして「真サムライガード」(GA文庫)「乱☆恋」(富士見ファンタジア文庫)「ガブリエラ戦記」(ファミ通文庫)などがある。来年早々にガガガ文庫でも何か始めるらしい……いつ書く気だ!?
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