松、なかじま、編集長新春鼎談!
大人気『パパのいうことを聞きなさい!』 人気の秘密と、今後の展開は?
皆さん、新年あけましておめでとうございます。
今年最初の特集は、絶好調が続く『パパのいうことを聞きなさい!6』
シリーズも6作目となり、勢いを増す超人気作の舞台裏を直撃です。

丸宝: 松さん、なかじまさん、あけましておめでとうございます。
松: あけましておめでとうございます。
なかじま: おめでとうございます。
丸宝: 松が開けて早々に申し訳ありませんが、今年最初のHP特集用の対談です。宜しくお願いします。
なかじま: 松があけるもなにも、私、全然お正月ありませんでしたけど。
松: あははは、コミケから引き続きで色々と作業をお願いしてしまいましたしね。
丸宝: 本当になかじまさんには頑張って頂いてすみません。
なかじま: いや、私が遅いのにも問題あるので…すみません。
松: なかじまさんが遅いとか言ったら、世の中に原稿の早い人が全然いなくなりそうな勢いですが。
丸宝: 今回は隔月で三冊発刊していたので、お二人とも頑張って頂きました。とにかく、まずは前の特集後に出た四巻からお話を進めましょう。
【96kg→90kgの四巻】
丸宝: まず四巻はサーシャさん登場の巻ですね。いい話だったと思うけど。
松: ありがとうございます。でもどこまでネタバレありで話していいんですか?
なかじま: ある程度はいいんじゃないですか? もう発売して半年近く経ちますし。
松: でも発売半年は小説の世界ではまだ最近って気がしません?
なかじま: うーん、そうかも。
丸宝: オチさえ避ければいいと思うよ。
松: じゃあ……この話は、当初に三姉妹の設定を決めた時からどこかでやる予定の話の一つで、どのタイミングでやるか考えていたんですが、意外と早めに持って来た感じです。
丸宝: ほほう、どうして?
松: 『パパ』シリーズのテーマは、やっぱり『絆』だと思うので、物語の前提になるものは早めに提示しておきたいかな、と。
なかじま: 確かに三姉妹ともに母親が違う割に年が近いとは思いました。
松: ネットでは先に気づいていた人もいたと友人から聞きまして、恐るべし、と思いました(笑)
丸宝: それだけ一生懸命読んでくれてる人がいるってことだね。
松: ありがたいことです。でも、僕は基本的に属性に「間抜け」とか「ドジ」とかが入っているので、設定ミスや失敗は笑って許して頂けると助かります(笑)
丸宝: 編集部としても気にはしてるんだけど、なかなかチェックが追いつかないところはあるね。ペース早いし、うまく書いてるから読み込んでもさらっと流れちゃうところがあって……
松: まあ、締め切りギリギリにしか原稿渡してませんから。いつもタイトロープを渡りきって貰ってありがたいです。
なかじま: わたしもいつもギリギリなんで、ほんとにすみません
松: なかじまさんがギリギリなのは、発注もギリギリだからなので、こちらこそすみません。
丸宝: いやいや、どんな状況でも完璧を期するのが私のポリシーなので、いつも責任を感じております。厳しくチェックさせて頂きますよ。
松: そういえば、この四巻の時は胃潰瘍にもなっちゃって……本当に泣きが入りましたね。
丸宝: そうそう、そうだった!
なかじま: あんまり調子が悪そうで、かなり心配してました。
松: 生まれて初めて、ご飯が食べられなくなったので凄く辛かったです。
丸宝: そんななか、よく完成させてくれたよね。
松: ……まあ、半分は鬼編集者が突き放してくれたからですが(苦笑)
丸宝: ええっ、私はいつも松先生のお体の事を一番に心配してましたよ!?
松: あははは、打ち上げに連れて行って貰ったうどんの味は忘れません。
なかじま: この頃から、松先生の激痩せロードが始まったんですよね。もう別人ですよ。
松: ああ、夏コミの段階では96kgあったのが、この原稿が終わった時には90kgまで減ってましたからね。自分でもびっくりしました。
丸宝: 私のおかげで痩せられた、ってのはどう?
松: あははは、まあそうかも知れません。完成原稿も気に入ってますし。この四巻は、パパのいうことを聞きなさい!の物語が持っている核心みたいなものが自分の中で形になり始めた話になったと思っています。
なかじま: サーシャさんとは話は、おおっ、て言いたくなるくらいラノベ的じゃないですよね。大人の世界というか。
松: うーん、そうかも。でも、愛情の形は多様だ、と思うんですよ。ネタバレを避けて話すのは難しいんですが。
なかじま: 空ちゃんたちのお父さん、祐太よりモテキャラですよね。
松: その辺も設定あるんですけどねー。いつか書けるんでしょうか。
丸宝: サーシャさんは、また登場する予定あるの?
松: 彼女は必ず再登場の機会ありますよ。その時にも、ちょっと色々とエピソードを考えてます。だけど……いつになったら書けるかが問題ですね(笑)
なかじま: サーシャさんも頑張ったデザインなので、また出てくると嬉しいです。
【90kg→84kgの五巻】
丸宝: そして隔月で立て続けの五巻ですね。これも大変でした。
なかじま: そうですよね……突然の予定変更でしたし。大変でした。
松: 本当に、お二人には感謝してます。
丸宝: 急遽パパを連続刊行することに決定したのが……九月の中旬くらいかな?
なかじま: そうですね。いきなり表紙の発注が来てびっくりしました。次は一月じゃないの? って。
松: まあ、色々と心理状態や体調や周辺状況もあって……まだ激しく胃潰瘍でしたし。
丸宝: 休んでもいいよ、とは言ったのですが、松さんは聞いてくれなかったからね。
松: 僕の中で年内の隔月続行は読者との約束だと思っていたので、頑張りました。
なかじま: 松さんの熱意を聞いたら、私も頑張るしかなかったですね。
丸宝: ありがたいね。ほんとに。
松: 本当にそう思います。五巻は、内容的にもとても気に入っていますし。体の調子は悪かったけど、逆にモチベーションは高かったかも知れないです。
なかじま: でも……犬には参りました。全然描いたことなかったので……ヘタで本当にすみません…orz
松: あれは盲点でしたね。というか、時間がない時に限って慣れてないものが来るという。試行錯誤して貰いました。
なかじま: 実際、全部のキャラクターの中で群を抜いてジュウベエのラフが多いです(笑)
松: 申し訳ないです〜
丸宝: そういえば、松さんは犬の名前に昔の剣豪の名前をつけるの好きだよね。迷い猫の方で大吾郎と珠緒の馴れ初めに出てくる犬はムサシだし。
松: あ、そうですね。剣と犬をかけてるダジャレなんですが、昔、大学の寮に居着いてる野良犬に剣豪縛りで名前をつけて呼んでて、その時からなんとなく……
なかじま: そんな理由があったんですか(笑)
松: もともと、名前をつけるのは苦手なので、いっつも苦労してます。
丸宝: まあねぇ。作家さんが苦労するというのはよく聞きます。
なかじま: なんか雑談になってませんか?(笑)
松: あ、そうですね。えーと、五巻は小鳥遊家にペットが来る話なんですが、これもシリーズ開始時点から考えていた話のひとつです。
丸宝: ペットを飼う話を書きたいってのは言ってたよね。
松: 夢だけはいつも語ってますから。実際に書けるのはほんの少しだけですが(笑)
なかじま: そういえば、この時も時間がないと言いつつページをかなりオーバーしたって聞きましたよ。
松: そーなんですよね。パパもキャラが増えてきて、どのキャラもエピソードを書いてあげたいので。ってか大量に思いつきすぎてページに収まらなくて……
丸宝: 別に分厚くする手もあるんじゃないの?
松: それを始めると幾らでも書いてしまうからやめましょうって、前にも言ったことあるような(苦笑)
なかじま: それはそれで困りますよね。挿絵も増えちゃうでしょうし(苦笑)
松: とにかく、五巻はひなを可愛く書けたのが嬉しいな、と。
なかじま: 犬と子どもは反則って言われるくらいの組み合わせですよね。
松: いやあ、書いてて自分が涙ぐむくらいには(笑)
丸宝: 四巻が大きな出来事なのに対して五巻は小さな出来事で構成されているのに、感動は甲乙つけがたいのが凄いね。
松: すごく褒めて頂いて恐縮です……
なかじま: まあ、松さんの体重と引き替えに書かれてますしね。
松: あー、そうそう。まだ胃潰瘍は治ってないんでうどん生活だし、しかも医者に運動を勧められたりで……どんどん痩せてましたね。
なかじま: 会うたびに人相が変わってましたよ(笑)
丸宝: この頃、どのくらい減ったんだっけ?
松: えーと、確か五巻が発売された頃が84kgくらいだったかな? いっそこの頃にはダイエットだと思って面白くなり始めてましたけど。
丸宝: 松さんのポジティブさには頭が下がるよ……。実際、パパのいうことを聞きなさい!はこの時期どんどん売り上げを伸ばしてるし、体調と無関係にクオリティはぐんぐん上がってきたと思います。
【84kg→79kgの六巻】
丸宝: そして遂に新年最初の六巻です。まず読みどころを教えてください。
松: ……この流れで言うと、僕の体重5kgと引き替えで完成したとか言った方がいいんですかね?
丸宝: いや、それはネタとしては面白いけどね(笑)
なかじま: ここから先はむしろダイエット自慢になりませんか?
松: あはは……まあ、病気で痩せてるんだから自慢にはならないですけどね。
丸宝: 確かに胃潰瘍ダイエットじゃ本にしても売れない(笑)
松: 僕の体重の話はおいといて。六巻の見所は、まず表紙ですよね。初の小鳥遊家以外がメインの位置にいる表紙ですし。
なかじま: いきなり私にふるんですか(笑)。 確かに今までとはだいぶ違いますよね。パットなくても巨乳ですし(笑)
松: 帯にかかる程の巨乳ですよ(笑)
丸宝: あれはデザイナーの沼さんの傑作だね。五巻の表紙もそうだけど、パパは表紙もいつも冒険がある作品になってるよね。
松: みんなが限界まで突っ走るのがパパの不思議なところですよね。
丸宝: それだけの作品に育ちつつあるってことですよ。
松: ありがたいですが……褒めてももうすでに限界ギリギリのところで(苦笑)
なかじま: わたしもお正月なしで頑張ったんで……
松: いや、いつも助けられてます。表紙通り、中身も莱香さんがメインの展開になってます。時はバレンタインですし、二巻続いた家族のお話とちょっと違う恋がメインのお話……かな?
なかじま: 相変わらず、胸の温かくなるストーリーですよね。
丸宝: 安心のクオリティです。でも、意外に恋のお話っぽくない?
松: うーん、どうでしょうね。みんなが少しずつ成長しているとは思いますけど。
丸宝: 今までの松さんの小説の中では、一番、一冊で進んでる日数が少ないよね。五日間くらいのストーリーが濃密に書かれてる感じで。
松: あ、そうかも知れませんね。キャラクターごとに書き込む密度を上げていくと、時間経過が圧縮されていくというか……逆に迷い猫は、一番派手な部分取り上げていくような意識だったんですけど、パパはもっと日常に根ざした部分に視点をつなぐ感じかな。
なかじま: 派手じゃないのに、印象に残るシーンはたくさんあるのがパパのいいところだと思います。今回は、菅谷さんの再登場がびっくりしました。
松: 僕も予想を遙かに超えて可愛いデザインになってびっくりしました(笑)
丸宝: 祐太もだんだんモテモテになってきたねぇ。
松: モテている……というイメージじゃないんですけどね。人間関係が広がってきたと言ってください(笑)
なかじま: 莱香さんのキャラが見えて来たのも読んでいて印象に残りましたよ。
松: そう、小鳥遊家にもっとも近い祐太の憧れの人と、三姉妹の関係に注目して頂ければと思います。
丸宝: お、いい形でまとまったので、後は読んでいただいてということで。まとめにいきましょう。
【次の展開は?】
丸宝: さて、ずいぶん長く話していただきましたのでそろそろまとめたいと思います。まず次の巻の構想とか。
松: これはあとがきにも書いたので公表していいと思うんですが、次は短編集の予定です。実はたくさん書くのは得意なんですが、短編はいまひとつ自信がないのでドキドキしてます。
なかじま: どんな短編になるんですか?
松: んー、なるべくキャラ単位で焦点を絞った話にしたいんですが、アイデアがありすぎて絞り切れてません。
なかじま: 私、美羽の話が読みたいです。それと仁村くん(笑) ヒロミちゃんでもいいですよ(笑)
丸宝: 私は莱香さんだね。個人的に好きなので。
松: あはは、その辺は読者のお手紙なんかも参考にしつつ……
丸宝: 次は五月予定かな? なかじまさんには少しお休みしていただいて…。
なかじま: 隔月はかなり辛いので、助かります……。
松: ひとまず、去年した隔月の誓いは護りきったので、多少は加減しつつ頑張ろうと思っています(笑)
丸宝: いやいや、松さんには休まずに頑張って貰わないと。読者が待ってるよ!
松: 分かってます……気合いは十分なので、諸々、遠からずご期待に添えるかと。
丸宝: 編集部としても、全力でバックアップしていきますので、この調子で頑張ってください。編集長としては、なんとか次の展開も用意したいと思っています。
松: お? なにか発表出来る事があるんですか?
丸宝: まだ何もないです! 鋭意奮闘努力中!(笑)
なかじま: う〜ん(笑)、よろしくお願いします。
松: まあ、メディアミックスは色々と大変な事も多いので、焦ったりしないですけどね(苦笑)
丸宝: 『パパのいうことを聞きなさい!』は、テーマも内容も大切にしたいと思っていますので、慎重に扱っていきたいと思います。お二人には、今後も良い作品を書くことだけに集中して頂きたいですし、このまま、読者のために頑張ってください。
松: ……はい、頑張ります。
なかじま: 私も頑張ります。
丸宝: それでは、長時間お疲れ様でした。これからも宜しくお願いします!!