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アストロ! 乙女塾! 星のプリンキピア(下)
本田透 イラスト/うろたん・とんぷう
定価600円(税込)
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| 渾身のゴシック・ホラーついに完結! |
| 晶に続いてヒカルまでもが吸血鬼の毒牙にかかり、生き人形にされてしまった。吸血鬼捜索は混迷を深め、次第に魔女狩りの様相を呈し始める。見えない吸血鬼の脅威に脅える学園生たち。 歴史の影に埋もれた悲劇の連鎖は断ち切れるのか?! 吸血鬼編堂々完結! |
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「…藍原さん」
夜の浜辺に打ち上げられたヒカル人形を覆うように、砂浜の上に黒い影が伸びてきた。
母船が放つ白い光に照らし出された、短く切りそろえた漆黒の髪、少年のような凛々しい横顔。
伊達鏡子だった。
鏡子は、砂塗れになって汚れてしまったヒカルを、そっと抱き上げて腕の中に仕舞いこんだ。
動けなくなってしまったはずのヒカルの頬に、幾筋も幾筋も、涙の痕が残っていた。
ずっと泣いていたのね、と鏡子は思った。
「あなたが悪いのよ、藍原さん。女の子になりたいとか、ドールになりたいとか…あなたは、あなたであることから絶対に逃れられないのに。本当に…馬鹿な子ね」
言葉は厳しくとも、優しい声だった。
家出して戻ってこない子供を迎えに来た、そんな暖かい声。
「帰っていらっしゃい、藍原さん。円さんたちが、あなたを待っているわ」
返事は無い。
でも、大丈夫。
どうすれば藍原さんが目を覚ますか、私には判っている。
ヒカルのガラス球の瞳の中に、鏡子の涼やかな微笑みが、映った。
「…お姫様は、王子様のキスで目覚めるのよ…」
鏡子は、ヒカルの小さな唇に、自分の唇を重ねた。
その時。
また、一粒。
ヒカルのガラス球の目から、涙の粒がこぼれ落ちた。
鏡子は、その涙を、そっと指で拭い取ってあげた。 |
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