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制覇するフィロソフィア
定金伸治 イラスト/エナミカツミ
定価600円(税込)
帝に成るために、己の『哲』を磨く娘たち!
日本国の帝を目指す娘たちが集った帝塾では、日々器を磨くために死闘を繰り広げていた。御間城和と水縄皆見は難解である編入試験に合格し入塾を果たしたのだが他の塾生から注目を浴び、塾内のいざこざに巻き込まれてしまう。命をかけた塾生生活、二人は生き残れるのか。
モノクロ  和は身一つをひるがえして、塾長の少女へと水平に跳んだ。地面すれすれを滑空する飛燕の動きだった。同時に、腕が鋭い刃となって塾長の胸へと伸びる。
 塾長は再び、羽織に腕を組んで不動。そこへ、刃となった和の指先が迫る。
「時というものを、おぬしはどのように理解する」
 はっとして和は振り向く。
 すでに、その位置にまで塾長の少女は移動している。『認識』というものへの理解度の差。それは、そのまま現実世界に立ち現れる。認識が切断され、相手の運動を感覚で捉えることができなくなる。
 和の『哲』が幼稚なのではない。ただひたすら、この塾長が圧倒的なのだ。
「たとえば問おう。時の流れとは何ぞや」
「……誰にも等しく流れているものだとしか言えない。あなたはそれを掴んでいる。しかし、おれはまだ掴めぬ。それゆえに、あなたの時の流れをおれは把握できぬ。だから、あなたの動きが見えなくなる」
「愚か者め」
 塾長は叱責するように言った。
「時は、流れるようなものではない。時の流れなど、ない」

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(C)エナミカツミ/集英社

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