集英社ライトノベル新人賞
第12回

最終選考結果発表！

新木伸 先生　総評

ＩＰ小説部門、第二回となる今回は、不作だった。

募集要項から、そう誤解させてしまうのか、「一発ネタ」の作品ばかりだった。正直、勘違いと場違い感が拭えない。

じつを言うと、このＩＰ小説部門、普通に長編を書く以上に高度な技が要求される。
求められているのは、書店の立ち読みなら冒頭二十ページだけで「うん。買おう」と、レジに持って行く力である。ＷＥＢ小説なら、初日に公開される数話だけで「うん。読もう」と、フォローしたりブクマしたりする力である。

ズバリ、「売れる商品」の最低必要条件でもある。
冒頭二十ページに込めなければならないものは、たくさんある。
世界の設定、主人公のモチベ、主人公の武器（長所）、敵あるいは障害あるいは味方、これから続くストーリーの最小構成の雛形ワンセット。――と、これら全部が必要。
このうちのどれか一つでも欠けていれば、決してレジに持って行かれないし、ブクマもされない。つまり、売れない。

チェックリストを作って、入っているかどうか確認すると良いと思う。特にＩＰ小説部門では。
なお、本当に「売れる」ためには、上記の「最低必要条件」の五要素をすべて満たしたうえで、主人公のモチベ（やりたいこと）が、読者として応援できるものになっている必要がある。
今回の三作品は、主人公のモチベが不明、あるいは敵あるいは障害が不在、など。五要素が欠けているために、残念ながら、すべて選外となった。