カルネアデスリング
(かわもと・たかし)(35歳)
- 【著者プロフィール】
- 1979年生まれ。神奈川県出身、在住。
- 【受賞コメント】
- 受賞の連絡をいただいた後、今までの投稿生活が、頭の中で走馬灯のように駆け巡りました。
全項目が最低点の評価シートを貰ったこと。十年経っても一次選考を通過できなかったこと。自分の才能に限界を感じて、一度諦めてしまったこと。他にも家族全員が同じ物を食べたはずなのに自分だけが食中毒になってしまったことや、親知らずを抜くために麻酔を二十本以上打たれた挙げ句顎の骨を削られたこともありましたが、今となってはどれも良い思い出です。
これからは投稿生活のときよりも、更に厳しい戦いが待っていますが、今だけは何も考えずに喜んでいたいと思います。最後になりましたが、私の作品を評価して下さった全ての方々。本当にありがとうございました。
- 【作品あらすじ】
- ファブイシス大陸の最南端に位置するディスケイン国は、隣国のエルブルクとシュバハイム帝国の連合軍に攻め滅ぼされてしまう。城から唯一逃げることに成功した亡国の王子フィルクスは、偶然居合わせたシュバハイム帝国と敵対する組織――『憂国の遺孤』に拾われ、身分を隠すために名前をルクスに変えて生きることとなった……。
それから七年後――
ルクスは元婚約者だったエルブルクのソロネ・ラグリファーレ女王とシュバハイム帝国のラガイム・アルドベリス皇子が、両国の同盟締結のために政略結婚するという情報を知り、結婚式の妨害を画策。下見のためにシモルディー修道院の院長であるミレーヌの協力を得て、式場となる大教会に侵入する。そして当日、妨害作戦は見事に成功。そこで偶然、ソロネ女王と話す機会を得たルクスは、自身の正体とソロネの兄――アボロンがシュバハイム帝国に騙されて殺されたこととを教える。その事実を知られてしまったシュバハイム帝国は態度を一変させ、エルブルクに対して宣戦布告し敵対する道を選ぶのだが、それはルクスが思い描いた筋書き通りで……
亡国の王子ルクス。彼が成し遂げようとする復讐の形とは――!?
PHANTOM DARK
(あかつき・かずと)(28歳)
- 【著者プロフィール】
- 石川県出身・在住。
- 【受賞コメント】
- 受賞の連絡を頂く三日前から悪夢にうなされ始め、当日には落選する夢を見て、どこが夢と現実の境目なのかと吐きそうになっていました。最終選考に残ったと連絡を頂いた時は泣きそうで、受賞の際は驚きであたふたして、今では吐きそうです。執筆を始めて三年と数ヶ月。こんな精神の弱い僕ですが作品に対する想いは強く、登場人物は我が子同然で、落選する度に我が子が否定されている気がして悔しくなりました。この悔しいという気持ちが執筆を続けられた大きな要因です。
ただ、今は作品に対する不安以上に、東京から無事に帰ってこられるのか不安で吐きそうです。迷いませんように。最後になりましたが、素晴らしい賞をありがとうございました。
- 【作品あらすじ】
- 戦争での勝敗が国家の地位を決定する世界。戦争によって収入を得る戦争国家と、軍隊は所持せず戦争以外で収益を上げる非戦争国家が共存する中、戦場として利用されたのは世界から必要無いと判断された国。当然、戦場に暮らす人々は生きることすら困難としていた。結果、人類は進化を遂げる。――"命の固形化"。他者から命を奪い取り、時には己の命を兵器に変える能力。戦争に全てを奪われたハイト=コクヨウは生きる理由を失いながらも自分を偽り、この力で復讐と共に戦争を終わらせることを誓い、戦争に参加するため戦争国家に雇われる道を選んだ。兵士養成機関へと入り、見事に歴代最高成績を収め、兵士競売に掛けられた……のだが、ハイトを落札したのは若き女性国王・シンク=カーネリアが治める――非戦争国家・トラキアだった。歴代最強の兵士ただ一人ならば軍隊ではなく自衛力。そんな理由で選ばれてしまったハイトは絶望する。このままでは、戦争に参加できないのだ。戦争の無い世界を望み非戦争国家となったシンク。戦争を終わらせるため戦争国家に雇われることを望んだハイト。違う道を選んだ二人。その先で、ハイトは本当の生きる理由を見付けられるのか?