※今回の度肝を抜かれる発表に関し、路上を歩いていたジョン・グッド氏へご意見をお伺いしました。
Wow!!
誰かと思えば、君じゃないか!!
確か、前回のスペシャルトークの時のアシスタントのボーイだね? オー、やっぱりそうか。
こんなところでどうしたんだい? 悪いけど、帰国の飛行機が出ちゃうから話ならまた今度にしてくれないかい?
実は昨夜秋葉原にあるコスプレパブでハメを外し過ぎちゃってね。
そこのスクイードガールがビックリするぐらい可愛くて、ついつい一緒に「インベージョン! インベージョン!」って大ハッスルさ!
おかげで寝坊、そして今乗り遅れそうになってて大あわてってわけ。笑えるだろ?
買い集めたクールジャパングッズが40キロにもなっちゃってね。もう大変さ。
だから悪いんだけど……ワット?
何だい、その号外は……。
ベン・トー……アニメ……化?
おいおい、ジャパンはこんな低レベルなドッキリでイけるのかい?
前回のスペシャルトークじゃ黙っていたけど、ボクはあのオフレコのインタビューで重要関係者に話を訊いているんだ。
ベン・トーはアニメ化どころか漫画化も何も全てのメディアミックスの可能性を意図的に全面排除した作り方をしているってね。
せめてまだ中国やタイ辺りの製作で実写映画化と言ってくれた方が真実味があったよ。
アニメであれは表現しようがないじゃなイカ!
……おっと、失礼。
とにかくあと一時間で飛行機が出てしまうんだ。ここから成田まで30分ちょっとかかることを考慮すると……わかるかな、ギリなんだよ。
そう、まるでママのジーンズさ。HAHAHAHAHAHAHA!!
――しかし、事実っぽいのですが……。
Oh……そこらの公園にいるボブにドッキリ……ソーリー。
ボクの代わりにインタビューにいってもらうんじゃダメなのかな?
――あの人、笑うだけですから、ちょっと……。
何を言っているんだい!
彼だって笑っているだけじゃないんだ!
時間があれば常に筋トレを繰り返し、あの逞しい体を維持……いや、増強しているんだ!
君はなんて失礼なヤツだ。信じられない!
しかもホラ、見るんだ、もう五分も浪費しちゃったじゃないか!
イッツタイムリミット!! ボクは行くよ!!
ママが家でチェリーパイを焼いて待っててくれる約束なんだ!!
――実はここにこんな資料が……。
………………。
――いかがですか?
Oh why……。
……こ、これは……本気なのかい?
編集部は……集英社は……いや、ジャパンは正気かい? 経済や外交の不安から変なギャンブルをしようとしているんじゃないのかい?
……アンビリーバボー……。
しかし、まだ、信じられないよ。
とりあえず、この資料をボクに貸してくれないか? 一度アメリカの本拠地に戻ったらじっくり検証してみよう。
――それはさすがにちょっと……困ります。
困っているのはこっちなんだよ!
こんなタイミングでこんな資料を見せるなんてヒドイじゃないか!
っていうか、普通だったらボクはとっくに空港か、ヘタをすればもう機上にいるはずなのに、君たちは一体こんな中途半端な路上で待っているとか、ボクに出くわさなかったらどうする気だったんだい!?
――それはそれとしてこの緊急速報に関してどのようなご感想を?
人の話をスルーしちゃダメだジャパニー!
どこでそんな押しの強さを学んだんだい!?
――アニメに期待することは?
前の質問にもまだ答えていないよ!
って、あぁー、時間が……飛行機が……!!
もう時間が……あぁ、もうしょうがない!!
ウォーキングしながらでいいかい!?
――嫌です。
ワガママボオォオオォォオォオイ!!!
……OK、OK……イージィ、イーーージィ……。
わかったよ、ボクの負けだ。
インタビューを受けるよ、ボクも気になっているしね。
そうだね、アニメに期待すること……か。
小説とアニメじゃメディアが違うからね、それによって表現も変わる。
例えば難しいのは半額弁当争奪戦シーンは当然、アニメーションでは食べ物や食事のシーンも鬼門だよね。あと、小説の中ではためらいなく出てきたゲーム関係とか、筋肉刑事、あと変態的なシーンとか最近はクレイジーな条例のせいで…………。
……なぁ、君、本当にアニメ化なんて、出来るのかい……?
今落ち着いて考えてみたらベン・トーのほぼ全てのシーンが実際問題として映像化不可能な気がするんだが……。
――しかしすでに予算が出ていますし、今更出来ませんってことにはならないのでは……。
……そうか。
なるほど……君たちがボクに接触をはかってきた意味がようやくわかったよ。
確かにこれじゃ笑いながら筋トレして全裸で公園をワンダーランドに変えるだけのボブには荷が重い。
国際的アナリストであり、あらゆる情報に精通しているボクのような人間の意見を欲しくなるのは当然だね。
何故ベン・トーがアニメ化するのか、そしてそれは現実的に可能なのか……こいつはビッグなミステリーだ。
……OK、ママのチェリーパイを諦める決心がついたよ。
帰国は一時お預けだ。
ボクの力を貸そう。
何よりボク自身ベン・トーフリークだからね、気になるよ。
Wow、覚悟を決めた途端全身が疼くようなワクワクが溢れてきたよ!
HAHAHAHAHAHAHA!
さぁ、それじゃまずその資料と集英社のお金の流れからアニメ化の話をたどって――!!
――以上でインタビューは終わりです。ありがとうございました。
……君は、ボクをバカにしているのかい?
――ありがとうございました。
●ジョン・グッド:国際的アナリストとして世界を股にかけるタフガイ。世界的な視野を持ち、その幅広い知識と偏った感性により極めて一部にカルト的な人気を誇っている。また英語、日本語、肉体言語に精通しており、日本の学生向けに英語ドリルを制作するなど、幅広い活躍を見せる。秋葉原でハッスルする謎の外国人ということで一時動画サイトを賑わした。なお、このインタビューの後、余裕を持って帰国の便に乗り過ごす。その後羽田に移動し、夜間の便で飛びだつものの、40キロに及ぶクールジャパングッズは何故かシンガポールに送られ、現地で行方不明になった。航空会社から補償が出るものの、彼は「お金じゃダメだ! お金じゃない買えない限定グッズや少部数製作の貴重な同人誌なんだよ! ボクの珠玉のコレクションを返してくれ!」と、航空会社のビルで泣き崩れた。
※当コーナーに関してのご注意
当コーナーはあくまで特別企画の緊急インタビューコーナーですので、あまりに意味がないと苦情の電話、メール等はご遠慮くださいますようお願いいたします。またジョン・グッド氏の見解、極秘情報については彼個人の意見であり、集英社並びにスーパーダッシュ文庫編集部、アサウラは一切関わっておりません。また旅行には余裕を持った行動を心がけましょう。