※『ベン・トー9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円』発売記念特別企画としまして今回もまた相変わらず役に立つようで役に立たない、けれど少し耳寄りな『自称世界的アナリスト、ジョン・グッド氏によるベン・トー スペシャルトーク5』をお送りします。

 ベン・トーフリークスのみんな、good morning!
 日本大好きな、世界的アナリストのジョン・グッドだ。
 もうすぐ梅雨に突入してしまうジャパンだと、こう天気の良い日は貴重に感じるよね。

 正直言うと、日本大好きなボクといえどもこの梅雨の季節に来日するのは抵抗があるんだ。毎日のようにしとしとと雨が降る様子はどうしても気分がナイーブになるし、高い気温と湿度は不快なことこの上ない。

 ボクが大好きな同人誌が、いつも国へ持ち帰る前にシオシオになってしまうしね……。


 でもね?
 今年のボクは違うんだ。
 何て言ったってベン・トーの最新刊が発売されるんだからね!!
 ベン・トーの新刊が発売されるとなったらもうママのモーニングコールを待つまでもなくベッドから飛び起きちゃうようなこのボクだ、雨が降ろうが槍が降ろうが関係ないね。

 鍛え上げたこのボディが物を言う時だ!
キューシューダンジ!!
 やっぱり彼は今回もいるんだね。
 前回、帰国前に言ったと思うんだけど、彼はいらないと思うんだよ。
 彼、アニメ版のベン・トーのDVDやBDをボクのように二本ずつ買い集めたりはもちろん、原作のベン・トーを読んだこともないだろう?
 っていうか、日本語喋れないだろう?

――何事もやってみなければわかりませんよ。

 やったよ、前回、半年前にやったよ!
 そしてダメだったよ!!

 君は、何も覚えていないのかい?



 ……まったく、仕方ない。
 彼は無視してベン・トーの最新刊の紹介をしていこう。
 イナゴ? ツクダァニ?
 ……まったく日本語がダメってわけでもなさそうだね?
 まぁいい。Don't mindだ。


 さて、今回の9巻の表紙、見てくれたかな?

 そう!! ついに表紙にボクらの茉莉花が帰ってきたんだよ!!
 しかも4巻ぐらいしかほとんど出番がない割に妙に人気があった真希乃も一緒に登場だ!!


 嬉しいね!!
 ボクなんて思わずこれを見た瞬間に集英社の廊下でブレイクダンスしちゃったぐらいさ!

――あぁ、通りかかったコバルト文庫の作家さんに「……気持ち悪い」って言われてたやつですね。

 ヘイ、ボーイ。
 そういうことは事実であっても伏せておくんだ。
 今、ボクのハートがどれだけ傷ついたか、君にわかるかい? 後で頭を抱えてうずくまるほどだよ?
 後で君の上司を通して正式な謝罪を要求するから、覚悟しておくんだ。

 ……とにかくだ。

 ご覧よ、今回もMr.シバノは良い仕事をしているね。
 愛らしい小学生の茉莉花に、可愛らしい中学生の真希乃。
 そして二人の足がまた……。特に茉莉花のショートパンツとニーソの隙間から顔を出す柔肌なんて、思わず舐め回すように見ちゃうぐらいだよ。


 ………………………………………………ふぅ。


 実は今回、スケジュールの関係でボクの来日が遅れちゃってね。
 それでまだ中身を読めていないんだけど……どうやら噂によると、今回は茉莉花が大活躍するらしいんだ!!

 ワァォ! 想像するだけで興奮してきたよ!!

 いつか茉莉花を抱きしめる時のために、大胸筋のトレーニングに余念のないこのボクだ。
 あの子の出番が多いってだけでゴッドに感謝の祈りを捧げたくなるね。

 特にアニメ版ベン・トーの6巻の映像特典で、茉莉花にはあの花澤香菜さんが声を当てたことで、もう脳内であの素晴らしいボイスで再現されてしまうから …………………………ふぅ。

――お願いです、ここで本を見つめながらズボンを脱ぐのはやめてください。

 !?

 あ、いや、これは違うんだよ!
 誤解ってやつだ!!

 ついつい……その、パンツの中が蒸れてしまったんだよ!!
 いやぁ、ムシムシしていて、辛いね、ジャパニーズ・梅雨は!!
オゥ! ツユ!!
メンツユ!! カッツォダァシ!!
 Oh、amazing!!!

 そうだよ、めんつゆだよ、素麺とか、おいしいね!!
 君も、そう思うだろう!?

――はい。

 アッアー……あ!!
 そうそう、ボクはね、今年のウィンターバケーションはジャパンで過ごしたんだ。

 ちょっと東北の方に行って、仲間達と長期滞在でスキーを思う存分楽しんだんだけど、どうやら今回、偶然にも茉莉花達も雪山に向かったようだね。
 口絵に描かれているけれど、ウェアがよく似合っているよ、うん。
 出来ることならボクもまたこの作品の中の世界に行って、一緒にスキーがしたいよ。

――あぁ、ボブから多額の賠償金をせしめたから、それで行ったっていう旅行ですね。

 ヘイ、ボーイ!!
 人が折角ヤバイネタから遠ざかろうと一所懸命なのに、君はどうしてそうやって……。


 君はアレかい?
 ボクを潰すように誰かから命じられていたりするのかい……?

――誰かから恨みを買っているんですか?

 ジャパンの古い言葉に『男には七人の敵がいる』ってのがあるだろう?
 当然ボクもそうなんだ。

 何せ世界を股に掛けるアナリストだ、訪れる国々も多ければ出会う人の数も数え切れない。
 それだけじゃなく、英語の教材とかにまで事業を広げたりもしているからね、ボクのことをライバルだと思っている人や企業は多いんじゃないかな?

 もちろん、それ以外にも……それこそ今年雪山に行ってきた際には一緒に行ったボクのベストフレンドであるジョナサンがジャパニーのかわいらしい幼女に対してセクハラしてしまって、身の危険と同時にちょっとした興奮を覚えたほどさ!

 AHAHAHAHAHAHAHAHA!!!
セクハァラ! パワハァラ!
ウラハァラ!! ニホンノブンカ!!
 AHAHAHAHAHAHAHAHA!!!

 ようやく彼の扱い方がわかってきたよ!
 ただ、残念だね。
 今のシーンはオールカットだ。
 ボクのイメージが悪くなるからね、ヘタをしたら法的措置を執られかねないよ。

――わかりました、必ず使えということですね。言っておきます。

 …………………………………………。


 ……違うね?
 意味が、違うよね?
 わかるかな、君は、日本語、大丈夫かな?

――いわゆる『押すなよ、押すなよ』の類ですよね。大丈夫です。

 …………………………………………。


 OK、ボーイ。
 あとでじっくりと話し合おうじゃないか。

 とりあえず、本来の目的である今回のベン・トーの見所を語ってしまおうか。

 今回はちょっといつもより食事シーンが多めらしいね。
 これからは食欲が減退する季節だから、是非ともこのベン・トーを手に厳しい季節を乗り切って欲しいよ。
 いっぱい食べないと、筋肉は育たないんだ。
 栄養を摂らずにトレーニングしても、それは体をイジメているだけだからね。イジメ、かっこ悪いね。
 だから、もし君の周りで食欲がないと言っているフレンズがいたら、是非ともベン・トーをプレゼントしよう。
 きっと、喜ばれるに違いないよ。
オチューゲン!! ショチューミマイッ!!
 そうだね、少し早いお中元さ。

 さらに、今回はアニメなどで世界のセガさんから公認をいただいたからと、今までは出すのを若干躊躇っていた昔の話を勇気をもって出してみたりしたそうじゃないか。

 実に、楽しみだよ。

 ……あと、これはボクの強力なコネを最大限に活用して仕入れたネタなんだけど……どうやら、今回あとがきには8巻の時には許可が下りなかった言葉も(削除されていなければ)記載されているとか。


 それが何かは……是非とも本を買ってみんなの目で確かめて欲しい。


 ……あっ、そうだ。
 一つ重要なミッションを思い出したよ。
 ヘイ、ボーイ。
 アメリカのベン・トーフリークスから頼まれたんだけど、ちょっと訊きたいことがあるんだ。

――なんでしょう?

 ベン・トーのアニメ第二期のことなんだけど、きっと今頃作ってくれて……。

――本日はどうもありがとうございました。お気をつけてお帰り下さい。

 ヘイヘイヘイヘイ、待つんだボーイ!!
 何、いきなり終わらせようとしているんだい!?

――ギャランティは後ほど、いつものようにスイスの口座に振り込ませていただきます。本日はありがとうございました。

 ウェイト、ウェイト!!
 Oh、shit!!

 本気で終わらせる気かい!?

 ボクはもちろん世界中にいる1億のベン・トーフリークス達が待っているんだよ!?
 アレかい!? ボクらが応援を続ければ、ありえるのかどうかだけでも教えておくれよ、プリーズ!!
……望めよ、さらば与えられん。
 What's happen!?
 き、君……真っ当に喋れたのかい!?

――本日は本当にありがとうございました。





●ジョン・グッド:国際的アナリストとして世界を股にかけるタフガイ。世界的な視野を持ち、その幅広い知識と偏った感性により極めて一部にカルト的な人気を誇っている。また英語、日本語、肉体言語に精通しており、日本の学生向けに英語ドリルを制作するなど、幅広い活躍を見せる。最近はかつての当企画の相方ボブに、酔って寝ている間にお尻の穴を弄ばれた上、名前入りブリーフを奪われたことがあり、それにより法廷で争った経緯がある。ベン・トーの中で一番のお気に入りは槍水茉莉花。小さい子が好みらしい。

●田中ゲン:剣道四段、柔道三段、空手三段、趣味は生け花と囲碁と将棋だと豪語したという噂のある日本人っぽい人。浅草辺りをいつも半裸で徘徊しているので、割とすぐに見つけられる。今回初めて単語以外の言葉を喋り、周りの人間を驚かせるものの、その後姿を消した。追い掛けた者の言葉によれば、両国の辺りで見失ったのだという。