千種トウコの家。客室のベッドではボリスが寝ている。家主のトウコはボリスの治療を終えてリビングで休んでいたが、そこへナナコが買い物から帰ってくる。
「ただいま帰りました! ボリスさんの御容態は?」
「……おかえりなさい。傷の手当ては済んでいます。今は安静にしておきましょう」
「そうですか! それでは、わたしはベッドのお傍で──」
「ナコ、話があります。逸る気持ちを抑えて、少しだけ私と付き合ってください」
「え、でも、あの……」
「お願いします。ナナコさん」
「……は、はい……」
テーブルを挟んでトウコの前の椅子に座るナナコ。
「ナコ。あなたはあのボリス・カルノフを、どんな人間だと思っているのですか」
「……ボリスさんが、何か大きな秘密を抱えている人だという事は、さすがにわたしだって解っています。あの人がなんらかの暗い過去を背負っていて、いつも演技の仮面を付けているような人だという事は」
「それなら──」
「だからこそ、わたしはあの人に、安心していいよと言ってあげたいんです。仮面なんか外していい、その下の素顔がどんなものでも、わたしは恐れません、って」
「……彼の本性は、あなたの想像よりもずっと悍ましい、最悪の怪物かもしれません」
「もし、そうだとしても、わたしは……あの人を信じたいと思っています。その、上手く言えませんけど、なんというか、あの人は多分、誰かから無条件で信じられたり愛されたりした経験がないのではと思うんです。だからあの人は、誰も信じられないし、愛せなくなっているんじゃないかって」
「それは……」
「姉さんが心配しているのは解ります。きっと、姉さんの方が正しい事も。でもわたしは、あの人は『善い人間を演じている』つもりの『本当に善い人間』なんじゃないかと思っているんです。自分の心の中に温かさや優しさがある事に気づかないまま、誰の心にもある悪い部分だけを大きく考えて、自分を悪人だと思い込んでいるように。わたしには、あの人がそんな風に見えるんです」
「……私は事実を重視します。彼が不正な手段でこの島に入った、多くの敵を抱えている危険人物であるという事実を。だからあなたの身が心配なのです、ナコ」
「どうか信じてください、姉さん。わたしにも、ボリスさんにも、それが必要なんです」
<応募期間>
2015年11月25日(水)0:00〜2016年1月24日(日)23:59まで
<応募方法>
【Twitterアカウントをお持ちの方】
① Twitterでダッシュエックス文庫公式アカウント(@dx_bunko)をフォロー!
② 作品を読んだら「#MONUMET_DX」を付けて感想をツイートすれば応募完了!
【読書メーターのアカウントをお持ちの方】
読書メーターで感想を書いていただくだけでOK! 感想はコチラ。
※募集期間中に対象タイトルへの感想・レビューを書いていただいた方は全て募集いただいた扱いとなります。
<当選者への連絡>
プレゼントの当選のご案内は、2016年2月5日(金)までにダッシュエックス文庫公式アカウントよりDMにてご連絡または読書メーター運営事務局から読書メーター内のメッセージ機能を使用しご連絡させていただきます。
その後、当選者の方はご自身のパソコンか携帯のE-mailアドレスより、こちらが指定するE-mailアドレスへ【住所・氏名・年齢・お電話番号】をご連絡いただくことになります。プレゼントの配送に必要な情報となりますので、ご協力を宜しくお願い致します。
また、2月12日(金)までにご返答をいただけない場合は当選が無効となりますのでご注意ください。
発送日に関してはご連絡をいただき次第、順次発送致します。
賞品の発送は全てダッシュエックス文庫編集部より発送させていただきます。
<注意事項>
・Twitterからのプレゼントの応募につきましては、【ダッシュエックス文庫公式ツイッター】(@dx_bunko)をフォローしている必要があります。
・フォローされていない場合は、ダイレクトメッセージが送れませんのでご注意下さい。
・読書メーターからの応募につきましては、読書メーターの会員登録(無料)が必要となります。登録はコチラ。
・ツイート投稿、読書メーターの感想・レビューで発生したトラブルにつきましては、本キャンペーンでは一切責任を負えません。
・個人情報は賞品の発送のためにのみ使用し他の目的で使用することはございません。
・当選者の発表はDMの送信または読書メーター運営事務局から読書メーター内のメッセージの送信をもってかえさせていただきます。
・当選に漏れてしまった方へのご連絡は致しません。また、当落に関するご質問には一切お答えできませんのでご了承下さい。
・プレゼントの発送は日本国内の住所のみとさせていただきます。
・転売を目的としたご応募は禁止させていただきます。
以上、応募方法をよくご確認の上、どしどし感想を書いて下さい! 編集部一同楽しみにお待ちしております!