リニューアル期間をはさんで、ひさびさの新人賞審査となりました。
最終選考の候補作、ひととおり読んで思ったことは、
「君たちは『世界』をどこまで作れているかな?」
でした。
これ、ファンタジー作品がわかりやすいですね。
オリジナルのファンタジーを書くということは、ひとつの異世界の創造にほかなりませんからね。でも、現実世界を舞台にする作品だって実は同じです。
そこは地球上のどこの国なのか?
どの時代なのか? 主な舞台は学校、農村、宮廷、ご家庭、闘技場? どんな人たちが暮らしているの? 超能力はあり? 魔法は? 指先ひとつで岩をも砕く暗殺拳はある? 運命の赤い糸で結ばれたふたりは一目会った瞬間にわかりあえる、あえない?
ファンタジーでもいわゆるナーロッパ?
それとも、いつだって勧善懲悪の時代劇? 名探偵や熱血刑事たちがいるような、週に一度は殺人事件が起きるご町内?
そこらを踏まえつつ、各作品を見てまいりましょうか……。
『その男、親馬鹿につき』 / 美貴大輔 |
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なんとも初々しい作品です。 |
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『魔法少女スクワッド』 / 悦田半次 |
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おお――うんうん。 |
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『褐色娘のラティーネさんに俺の体が狙われている』 / 岸馬きらく | |
本作は作品世界を作る段階で、書く難易度をどかんと上げております。 |
(敬称略、順不同)
ここ数年の新人は、本当に技術水準が高いと感じています。特に今回審査することになった三作は、どれも未熟さを感じさせる部分が全くなく、これが今の新人なのかと驚かされました。毎度のことながら、順位をつけるのに頭を抱えております。
今回の審査に関われたことを光栄に思います。作者の皆様の活躍を心より願っております。
『その男、親馬鹿につき』 / 美貴大輔 |
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この作品の魅力はどこにあるのか、読者に何を楽しんでほしいのか、というコンセプトがしっかりしている作品だと感じました。 |
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『魔法少女スクワッド』 / 悦田半次 |
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高水準にしっかりとまとまった作品だと感じました。 |
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『褐色娘のラティーネさんに俺の体が狙われている』 / 岸馬きらく | |
惜しい点はあるものの、光るものも大いにある作品だと感じました。 |
(敬称略、順不同)