集英社ライトノベル新人賞
第13回

第13回集英社ライトノベル新人賞 王道部門 最終選考結果発表

厳正なる選考の結果、以下1作品が受賞となりました。

審査員特別賞

受賞者コメント

『第442亜人兵団』

齊藤瑛研(さいとうえいけん)
【著者プロフィール】
1995年生まれ。東京都出身。
【受賞コメント】
よしっ。 受賞の一報を受けたとき、何度もメールを確認してから手のひらに爪が食い込むほど拳を握りました。

一次、二次、三次、四次、最終選考と進むたびに、THE BLUE HEARTSの「終わらない歌」に出てくる「ホントの瞬間はいつも死ぬ程こわいものだから」という歌詞が頭から離れなくなっていたので、ようやく解放されたような安堵感が全身に広がりました。

創作にはいろいろな思想、技術、資質が存在していて、それらが作者のなかで混じり合った結果として作品が生まれているように思えます。
良い悪い、強い弱いだけでは測れない世界にはたくさんの先人たちの足跡があって、みんな向かう先も歩幅もばらばらだけど、たどっていくとその人が信じているものが少しだけ分かるような気がします。

未熟だからこそ生み出せる熱量もあり、偏っているからこそ発現する個性もある。全ては無数の正解のうちの一つなのだと思います。

第442亜人兵団の登場人物たちも、各々がたどり着いた正解の先で、待ち受ける結果に飲み込まれていきました。
そんな彼らの物語を賞という形で評価していただいたこと、心から嬉しく思います。

最後になりますが、選考に関わってくださった皆様に感謝を申し上げます。

これからも書き続けます。
【作品あらすじ】
約八十年に一度、人類が住むエルタイニ大陸は魔人領域から現れる魔王軍の侵攻を受けていた。
幾度となく繰り返された戦争は多くの国を滅ぼし、夥しい犠牲をもたらした。
しかし、そのたびに人類は団結し、各国が生み出した勇者によって魔王を討ち倒してきた。

そんな世界が束の間の平和を享受していた時代、エルタイニ大陸有数の大国であるナーブ共和国には様々な亜人の種族がそれぞれの文化を残したまま暮らしていた。

リザードマンの亜人自治区に生まれたライザス・サイロスは十六歳になったとき、ナーブ亜人兵学校へと入学する。
そこには各種族から抜擢された子どもたちがナーブ共和国を守る亜人兵となるべく集まり、いつか訪れるであろう魔王軍との戦いに備えて日々訓練に励んでいた。

ライザスが兵学校での生活にも慣れ、同期たちとの絆も深まりつつあった頃、突如として第九代魔王軍の侵攻が始まった。

大人ですら戦争を知らない時代、ライザスたちは恐怖よりも高揚を覚えながら、亜人兵として初めての戦場に赴く。
彼らを待っていたのは、人類にはない魔力を備えた魔物という脅威だった。

人類の才能や訓練を嘲笑い、魔物の群れは亜人兵たちを紙細工のように蹴散らしていった。
生き残ったライザスとわずかな同期たちは、改造手術によって兵器としての身体を手に入れ、ナーブ共和国最高戦力が集う「第442亜人兵団」へと入隊する。

激戦に次ぐ激戦、散っていく仲間、麻痺していく感性、あらゆる戦場で名を馳せたライザスたちは気付けば亜人の勇者と呼ばれていた。

各国の勇者とともに、エルタイニ大陸を守った亜人の勇者は第九代魔王を討伐するべく魔人領域へと旅に出る。

あまりにも大きな力と使命を背負って。