

『神様の眠る場所』
立春佑希(たつはるゆき)
- 【著者プロフィール】
- 1999年生まれ。埼玉県出身の埼玉県育ち。
- 【受賞コメント】
- 立春佑希です。
まずはこの新人賞に関わってくださった全ての方へ、本当にありがとうございます。
数年の間小説を書き続けて初めての受賞という事で、第一報を頂いた時には舞い上がるような気持ちでした。今でもどこか夢の中に居るような心地です。これから先ただ浮かれているばかりではいられないと思いつつも、今の気持ちを忘れないようにしたいです。
私は作家としての第一歩を踏み出したばかりで、まだまだ若輩者でございます。ですが少しでも長く皆様の元に作品を届けることが出来るよう、これからも精進したいと思います。どうか、宜しくお願いいたします。
- 【作品あらすじ】
- 人間に育てられた神様のマユは、神様が隠れて住む街・川越で、幼馴染の凪織と穏やかに暮らしていた。
朝起きて、学校に通い、雑貨屋の手伝いをして眠る日々が、いつまでも続いてほしい。だが、マユの願いに反して、人間の凪織は成長し、生活環境が変化していく。
「マユ。君には生まれついての役割がある」
そして知ってしまった、神様たちの過去。彼らはなぜ、隠れて暮らすのか。なぜ、人間との接触を過度に嫌うのか。どうしてマユだけが、人の元に預けられたのか。
「一度決めた事なのに。どんなに寂しくっても、どんなに嫌でも、どれだけ耐え難くっても、みんなを救うって決めたのに」
神様のマユと、人間の凪織。いつも一緒にいた2人。だけどいつまでも、変わらないままではいられない。
『君の心は物理的に宝石で、あの海の色をしたサファイアである』
穂積潜(ほづみもぐり)
- 【著者プロフィール】
- 1989年生まれ。広島県出身。
- 【受賞コメント】
- まず初めに、この度は望外の賞を頂戴し、まことにありがとうございます。また、拙作を丁寧に審査してくださった全ての方々に厚く御礼申し上げます。
さて、私は今まで細々とライトノベルを書いて参りましたが、自分の好きに書いているとどうしても執筆ジャンルが片寄りがちになってしまうきらいがあると常々感じておりました。中でも『純愛』というテーマは自分には最も縁遠いジャンルとしてこれまで避けてきました。しかし、敢えて苦手なジャンルと向き合うことで得られるものもあるだろうと考え、ある種のチャレンジとして執筆したのが本作です。結局、小説というものは読み手ありきの創作物ですので、内容の出来に関しては読んでくださった方々の一存に委ねる他ありません。ですが、今回、このような素晴らしい賞を頂けたことで、私の挑戦にも少しは価値があったのだと実感することができ、素直な喜びで満たされております。いつまでも未熟なままの私ではございますが、これからも粘り強く、またジャンルにとらわれず執筆を続けていかなければと決意を新たにしております。長くなりましたが、この度、審査員特別賞を頂戴したこと、重ねて感謝申し上げます。
- 【作品あらすじ】
- 心が心臓の裏にある実在の器官であり、それを宝石――『タマイシ(魂石)』として可視化する技術が普及した世界。
主人公――久世 純は高校二年生。彼はとある事情から非タマイシ化を貫く、『心が見えない』人間である。そんな純は、高校一年の時、同級生で最愛の彼女――空海 茜を、こっぴどく振った。
茜を振った後、転校して接触を避けていた純。しかし、ある日、茜の母親が純の所を訪れ、茜が『無人病』という原因不明の難病にかかって、余命3ヶ月だと告げる。『無人病』は、タマイシから色――感情が次第に抜け落ちていき、最終的には『生きる意欲』そのものを失い、死に至る病である。
茜を救うには、喜怒哀楽の感情を強く持つ者=『感情ドナー』から移植手術を受けるしかないが、正攻法ではドナーの順番待ちで到底間に合わない。そこで、純は茜と日本各地を巡り、非合法な『感情ドナー』を見つける旅に出る。
全国を巡り、様々なトラブルに見舞われながらも、『喜怒哀楽』のタマイシを収集していく純。一方、茜は刻一刻と病状を悪化させていき――。
これは二人の眩しくて脆い宝石のような旅路。もしくは、心の最後と最初の物語。